前著『アイドル堕落日記』(洋泉社)には、こんなエピソードが書かれている。事件は、DVD撮影のため沖縄でロケをしたときに起きた。その旅はのっけから波乱含みで始まっている。
〈本来ならばマネージャーが同行するはずなんですが、先方さまが「マネージャーさんの航空券が確保できなかった」という理由で、マネージャー不在。なんじゃそりゃ。マネージャー無しのキワドイDVD撮影なんて、うちの事務所でははじめてのことです。このあたりから暗雲が広がり始めた気がします〉
その悪い予感は見事的中。先方が用意した水着は打ち合わせにない露出度の高いものだった。
〈なんで現場で急に手ブラとか髪ブラをやるのかしら。いつでもどこでも笑顔で脱げる女じゃないわよ。前もって言ってくれないと、気持ちの準備ができないでしょ。現場を楽しくやるために、入念な打ち合わせをするんじゃない。そこでなんで言ってくれないの。だまし討ちはよくない。聞いてない。
お手々でおっぱい隠して、股を広げて笑顔って、私はなにをしてるの? 湯船につかりながらカメラに向かって、Tバックのお尻をぷかぷか上下に浮かせて、振り向きながら笑顔って、私は馬鹿なの?
(中略)
それに、「堅い水着のアイドル」→「ちょっとすごい水着のアイドル」→「なにも着ないアイドル」→「???」というアイドル堕落のラインをキレイになぞっているので、これから先が怖い。先が見えない、見えないんだ! 練炭だ! 練炭を持ってこい!〉
だまし討ちで露出の高い水着を用意し強引に脱がす。噂にはよく聞く話だが、まさか本当にそんなことが行われているとは……。しかし、この話などまだまだ序の口。タレントを守ってくれるはずの事務所が彼女を陥れたことすらあったのである。