小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

年末特別企画 リテラの2015年振り返り

差別、でっちあげ、抗争扇動、真相隠ぺい…犯罪・事件報道でマスコミが犯した“7つの大罪”

■2つのドローン事件を「重大な犯罪」「危険」と煽った新聞・テレビがフタをした「都合の悪い真実」

 Amazonが世界初のドローン宅配を発表するなど、その有用性が注目されている小型無線機ドローン。今年はそのドローンをめぐる事件が相次いで起こったが、マスコミの報道はいずれも不可解なものだった。
 まず、4月22日に、総理官邸の屋上にドローンが落下しているのが発見された事件。2日後の4月24日、福井県小浜市在住の男性(40歳)が出頭、逮捕され、その後、動機が明らかになった。ドローンには、発炎筒と、ペットボトルのような容器が取り付けられており、内部からはセシウム由来の放射線が検出された。それは後に福島で採取した汚染土だったと判明。しかも男性は元自衛隊員で、犯行の動機を「原発政策への抗議」だと供述した。
 男性のブログにも原発への危機感、原発テロへの恐怖が書き記されていた。そこには格差社会へのルサンチマン、ドローンによる官邸への“汚染土返却”など、様々な政治的主張がなされていたが、しかし多くのマスコミはこうした “動機”や“背景”がわかったとたんに沈黙してしまった。事件の背景にある反原発や、福島の放射性汚染土“返却”といった動機を報じることで、「原発批判をした」と睨まれることを恐れて自粛したのだ。そして男に「単なるアブナい男」とのレッテルを貼り、事実上、事件をフェードアウトさせてしまった。
 一方、その約1カ月後に起こった15歳の少年によるドローン事件は政治的背景がないこともあり、マスコミは大報道を繰り広げた。
 5月21日、浅草三社祭でドローンを飛ばすことをほのめかす内容をネット配信したとして少年が逮捕された。少年はそれ以前にも長野・善光寺でドローンを落下させ、国会議事堂近くでもドローンを飛ばそうとして警察からマークされていた人物だったが、逮捕は大きな疑問が残るものだった。そもそもドローンを飛ばすこと自体は当時まだ違法ではなく、また少年は三社祭でドローンを飛ばすと示唆しただけで、実行はしていない。しかしマスコミは少年に対する大バッシングを展開していく。
「15歳にもなって、こういうことをしてしまうの大問題ですよ」
「人として良いのか悪いのかって判断がついていない!」
「この子、勘違いしてる、この子自体が。まずいと思います」
 危険性がどれだけあるのか不明であり、その行為自体犯罪に当たるのかどうかも怪しいのに、15歳の少年を重大な犯罪者扱いし、お決まりのようにプライバシーを暴いていった。
 そもそも、事件や災害現場でハタ迷惑な取材を展開しているという意味では、新聞やテレビも同様だ。しかも、連中は数字が取れそうな事件が起こるとハイエナのごとく集まって、各社横並びのバッシング報道を繰り広げる一方、政治的圧力が加わったとたん、すぐに腰砕けになる。
 知る権利の遂行者としては、不当逮捕されてもきっぱり犯行を否定したこの15歳の少年のほうが、はるかにスジが通っているというべきだろう。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する