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年末特別企画 リテラの2015年振り返り

差別、でっちあげ、抗争扇動、真相隠ぺい…犯罪・事件報道でマスコミが犯した“7つの大罪”

■“佳子さま”脅迫事件でも! 警察による不当な「偽計業務妨害」、そして「威力業務妨害」の濫用

 ここ10年来、ネット上での犯行予告事件など、現行の刑法では取り締まりが難しい事案に対し、安易に威力業務妨害や偽計業務妨害で検挙するケースが増大している。
 前述の2つのドローン事件では「威力業務妨害」、今年5月には秋篠宮家次女の佳子内親王に対し、危害を加えるなどの書き込みをネット上で行った43歳男性が、「皇宮警察に警戒を強化させた」として偽計業務妨害で逮捕された。 
 偽計業務妨害罪は「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害」した際に適用されるもので、威力業務妨害罪とともに3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられている。
 しかし、この「威力業務妨害」「偽計業務妨害」適用については、拡大解釈、不当逮捕ではないかとの声が法曹界の一部からあがっている。
 たとえば、ドローン少年はドローンを「飛ばす」としただけで、「妨害」はまったくしていない。また、業務妨害というのは、本来、民間の活動に対する妨害行為を取り合いまるものなのに、官邸ドローン事件と佳子さま脅迫事件では、それぞれ、官邸、皇宮警察の業務を妨害したという理由でこの罪が適用された。
 この背景には、以前は、デモが盛んなときは反政府的な動きを公務執行妨害で取り締まっていたが、ネット時代になって、それが通用しなくなったため、代替案として威力業務妨害罪や偽計業務妨害罪を適用し始めたことがある。
 実際、都立高校の元教師が卒業式会場で保護者らに国歌斉唱の際に着席を呼びかけるなどした事件や、特定秘密保護法の強行採決に反対・抗議して参議院本会議場に靴を投げ入れた男性に対しても、威力業務妨害罪が適用されている。
 権力側の恣意的な運用により、何でもかんでも「業務妨害罪」を恣意的に濫用することが可能になってしまったこの状況。もちろんこれはマスコミに対しても運用可能で、言論に対する重大な危機だが、しかしメディアの反応は驚くほど鈍い。

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 こうしてみると、犯罪が凶悪化しているのではなく(実際、凶悪事件は減っている)、マスコミの煽りが悪質になっていることがよくわかるだろう。リテラは、2016年もメディア全体の空気に流されず、犯罪報道の裏側をチェックしていくつもりだ。
(編集部)

最終更新:2015.12.31 04:45

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