『チーム・ブライアン』(講談社)
世界歴代最高得点を大幅更新、グランプリファイナル3連覇に続き、全日本選手権の4連覇も果たした、フィギュアスケートの羽生結弦。この快進撃に「絶対王者」「神」などの称賛の声があふれ、雑誌「an・an」(マガジンハウス)の表紙を飾ったり、大晦日のNHK紅白歌合戦の審査員にも決まるなど、連日メディアに引っぱりだこだ。
このフィーバーぶりを羽生自身はどう受けているのだろうか。
12月15日生出演した『報道ステーション』(テレビ朝日)でも、古舘伊知郎から世間やマスコミの移り気な対応を感じることはないかと問われた際、こんなふうに答えている。
「ソチオリンピック後、昨シーズンは怪我などもあり、思ったような成績が取れなかった。最初に成績が取れなかった時ほど大きく取り上げられて、その後にサッといなくなる感じが、すごく虚しいというか。まあ、それはそれで安心する部分もちょっとあったりとかするんですけど。その、練習に打ち込めるっていうのもあるんですけど。『もっとがんばらなくてはいけないな』と感じる部分はすごくありました」
また、マスコミのフィーバーと比例するように、盛り上がるのがネットでの毀誉褒貶だ。本サイトでも先日考察したが、フィギュアファン=スケオタ同士が激しい論争を繰り広げたり、選手のアンチスレッドに盛んに書き込みが行われたりと、自分の好きなファンを応援するにとどまらず、ライバル選手を執拗に攻撃するケースがしばしばある。とくに引退した高橋大輔ファンと羽生ファンのあいだには確執があったといわれてきた。
そうしたアンチの非難に対する思いについても、12月26日のスポーツニッポンで羽生は打ち明けている。3年前の全日本選手権で初優勝したときの苦い思い出だ。このとき、高橋大輔がフリーでは1位の素晴らしい演技を披露し、羽生は前日のショートプログラムで稼いだ得点で逃げ切った形での優勝だった。そのため「会場の雰囲気が(高橋さんが)優勝という感じで。優勝したけど、その後苦しかった。ノイズというか、日本には賛否両論ある」と。
ひとつ試合が終わればネット上には選手を讃える言葉以上に、選手への批判や悪口、採点に対する疑問が大量に書き込まれる。そうした試合結果をめぐるファン同士の論争やアンチからの非難は、やはり、選手自身にも届いているようだ。