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なべおさみのヤバい交友録第二弾! 暴力団や政治家だけじゃない、王貞治を手かざし治療、ハイジャック犯撃退…

 そこで彼は、腹に「スクリーン」「映画の友」の雑誌二冊を入れてコックピットへ向かった。「人間、首と腹さえ避ければ命は保てる」という考えからの防御策だった。だが、コックピット内の犯人と接触することはできなかった。そこで、なべは残された人質たちのケアに回る。

 それから数時間が経過したが、日本政府と犯人の交渉はうまく行かない。よど号ハイジャック事件で得た教訓から、簡単には犯人の要求に屈しない態度を貫く日本政府は終いにはハイジャック犯を激高させてしまう。そして遂に犯人は「一時間に一人、乗客を殺して機長の窓から放り出す! いいか! 一時間に一人や!」という声明を出すにいたるのだった。

 もう自分たちの力で犯人と戦うしかない。追い込まれたなべは、残りの乗客から義勇軍を募る。そこで手を上げた8人の男たち、「8人の侍」を中心に戦いが始まる。コックピット内の犯人に気づかれぬよう後部ドアを開け、そこから人質たちを脱出させる決死の計画を開始した。作戦は見事成功。事件も無事解決したのだが、飛行場のロビーに着き、駆け寄ってきた日航職員の言葉でなべはまたもや驚愕することになる。感謝の言葉を言われるのかと思いきや、彼の口から飛び出してきたのはこんな言葉だった。

「あなた、内側から飛行機のドアを開けましたね。脱出シュートの操作もしましたね。これは大きな過ちです。飛行機には飛行機の規約というものがあるんです」
「御存じないですね。国際航空法というものがありまして、あなたの行為はこれに明らかに違反するわけです。困りました。違反しておりましてね。民間人がドアを開閉をしてはならないと、きっぱり定められておるんです。これに当たるんです」
「そこで当社では、これをあなたの為に内分にしようと決めました」
「つきましてはそちら様も、この件に関しては、一切、口にしないと誓って頂けませんか!」
「とりあえず本日の記者会見には、出席を控えて頂きます」

 この事件の解決の手柄が機長たちのものとなり、なべの功績が世間に伝わっていないのには、こんな裏事情があるとのことなのだ。やはり、なべおさみ、いろんな意味でヤバすぎる……。

 本書のなかには、こういった話の他にも、美空ひばり、石原裕次郎、ハナ肇、谷啓、水原弘、勝新太郎、ジャンボ尾崎、落合博満といった、昭和を代表するスーパースターたちとの眩いばかりの交友録も綴られている。この年の瀬は『昭和の怪物 裏も表も芸能界』を読んで、この世のものとは思えないなべワールドに浸ってみてはいかがだろうか?
(新田 樹)

最終更新:2015.12.23 12:44

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