いかにもフジの時代を読む目の衰えを表すエピソードだが、フジのスタッフが憤るのは、いまになって上層部が「なぜうちでやらなかったのか」と口にしていることだという。まさしく“ダメな会社、ダメな上司”の典型例だ。
にもかかわらず、上層部は〈過度な現場介入〉を繰り返す。その態度は“フジ凋落の戦犯”というべき亀山社長の定例記者会見の発言に顕著だ。
先日も、現在フジが放送しているドラマ『オトナ女子』の低視聴率に対し、「涼子ちゃんがあまりに美しすぎるので、イタくないんですよね」と苦言を呈したが、土曜深夜のドラマ実験枠で放送した『She』にも「大いに実験してもいいが、ただの実験で終わると評価にならない。独りよがりの実験にならないように」などと発言。自身がドラマ畑出身でトレンディドラマブームの立役者という自負があるせいか、4月の定例会見でもフジ苦戦の原因を「ドラマ」だと言及した。だが、このような的外れの難癖ばかりつけて、挙げ句、社長の小言が新聞で報じられ、そのことで番組に悪いイメージを与えられてしまえば、現場の士気はダダ下がりになるのは目に見えている。
実際、前出「週刊ダイヤモンド」に掲載されたフジ社員のコメントは、厳しいものばかりだ。
「定例会見で、視聴率低迷の原因をドラマのせいにした亀山社長には、さすがに「何言ってんだ、こいつ」となった」(制作・中堅)
「亀山社長を筆頭に、上層部は巨人軍の長嶋(茂雄・元監督)みたいな人が多い。ヒットを打つこつを言うときに「腰をクイッとやって、バーンと打つ!!」みたいな。感覚で物を言うので、対処に困る」(制作・若手)
「トレンディドラマ出身者には妄想癖がある人が多い。お花畑のような思い付きを、情報番組にまで持ち込むからたちが悪い」(制作・若手)
こんな調子で、一体これからフジテレビはどうなってしまうのだろう。まずは亀山社長とフジ社内にこびりつく「若者に支持されるフジテレビ」「12年間も視聴率三冠王に輝いた記録」などという“実体のないプライド”を捨てることからしか、再生の道はないのではないだろうか。
(大方 草)
最終更新:2015.12.21 07:04