だが、この『あいのり』出演者で、人気も高かったメンバー・通称“デヴィ”が、番組の“やらせ”を暴露。それを報じた「週刊新潮」(新潮社)05年2月24日号によると、成田空港を発つ前からディレクターからのやらせ指示が行われ、「(フラれたばかりの男性出演者と)カップルになって帰ってきてね」と言われたという。
もちろん、海外に行ってラブワゴンに乗ってからも「撮影中は毎晩、スタッフから翌日の行動を指示されました」と語るように、ディレクターからの"演出"はつづく。ひどいときは「最近、彼と仲よすぎるから、ちょっと殴ってみようか」と言われ、彼女が指示通りビンタしたところ、相手の男性に泣かれてしまったそうだ。──こんな話を読んでしまうと、『テラハ』における聖南さんの“トレンディ劇場”や、水球選手・賢也氏と遼子ちゃんの“泥沼バトル”も、もしかして……と邪推してしまったりもする。いや、台本ナシであれだけの展開が繰り広げられていたら、『テラハ』は世の中が怖くなるほどの強烈メンバー揃いであることは間違いないが。
さらに、TOKIOが司会をつとめ、1999〜2003年まで放送されていた高視聴率リアリティ番組『ガチンコ!』(TBS系)でも、やらせの実態が出演者によって内部告発されている。
問題となったのは、番組内の企画「ファイトクラブ」。ボクシング元世界チャンピオンの竹原慎二がプロボクサーをめざす少年たちを指導、プロテストを受けるまでをドキュメントとして追いかけ、番組の目玉企画となっていた。しかし、これも出演者がやらせであることを「FRIDAY」(講談社)01年10月26日号で告白。たとえば、番組内で「1週間の合宿」と銘打ちながらも、実際は「本当は1泊2日」しか行われていないことなどを証言しているが、加えて"台本の存在"までをも暴露している。
「もちろん、この番組は普通に台本とかあって、台詞は一から十まで決まってますよ。(中略)だから、間違えたら何回でも撮り直してます」「自分たち、いっつもガラ悪そうにヤル気なさそうにしてなきゃいけないんですよ。(中略)もう、そういうの、やっててホントいやなんですよ」(証言より)
すべての台詞が決められていた──。彼の証言が正しければ、一体、何が“ガチンコ!”なのかさっぱりわからないが、こうしたリアリティ番組のやらせ問題で最悪の結果を生んでしまったのが、『愛する二人別れる二人』(フジテレビ系、98〜99年放送)だろう。
この『愛する〜』は、素人の夫婦が登場して不満をぶつけ罵り合い、結婚を継続するか離婚を決意するかを選択するという内容。ときには夫婦が感情を爆発させてつかみ合いの喧嘩になったり、愛人が登場するなど、中身が過激になるほど視聴率はうなぎ登り状態となっていた。だが一方で、週刊誌では出演者やスタッフであるリサーチャーらによるやらせ告白も噴出。ニセ夫婦の"仕込み"から、妊婦という設定の女性がじつは妊娠していなかったりなど、疑惑のオンパレードだった。そして、ついには番組にやらせ出演していた女性が自殺していたことが発覚。このことがスポーツ紙で取り沙汰されると、フジテレビは番組打ち切りを決定した。……しかし、こんな大きな事態を招いても、フジテレビ側が打ち切りの理由として認めたのは、自殺した彼女が出演したとき夫婦ではない男性を「夫役」としたことのみだった。