「小山(博史・埼玉県の特別老人ホーム経営者)と茶谷は、月2〜3回の割合で、浦和市の埼玉県庁の近くにある料亭や、大宮市内の一人2〜3万円かかる飲み屋で会っていた。都内では、銀座、赤坂、六本木の飲み屋も使った。むろん支払うのは小山で、会うたびに、3万円程度の現金も渡していた。岡光と小山はもっぱら赤坂の料亭で会い、こちらは、そのたびに10万円程度現金を渡していた」(「週刊現代」96年12月7日号/講談社)
「約10万円の料亭接待は、ほぼ毎月のこと。人事異動のたびに10万円単位の餞別。数十回にわたる高給ゴルフ場でのプレー代も、岡光次官は小山容疑者に甘えていたという(略)91年には1600万円相当のゴルフ会員権(略)。マークⅡなど350万円以上の高級国産車を数台、私用に乗り回していた」(「週刊女性」96年12月10日号/主婦と生活社)
「6000万円のカネに1600万円相当のゴルフ会員権贈与、自家用車の提供──と、岡光・前厚生事務次官が小山容疑者(博史・埼玉県の特別老人ホーム経営者)から受け取っていた金品は度を超している。そればかりか、女性同伴でアメリカや台湾旅行にうつつを抜かしていたとは、驚きを通り越す」(「週刊ポスト」96年12月6日号/小学館)
岡光元事務次官と茶谷元課長は、その後有罪が確定したが、こうした汚職の背景に単にゴルフ接待だけでなく高額ゴルフ会員権の贈賄まで存在したことがわかる。
厚生省だけではない。省庁の中の省庁といわれた大蔵省でも95年の二信組事件、98年の“ノーパンしゃぶしゃぶ事件”こと大蔵省汚職事件もゴルフを含む接待が問題になっている。
「(二信組事件で)特別背任で起訴された高橋治則被告らに、大蔵官僚は接待漬けにされていた。(略)融資の口利きをしてもらったお礼が、ゴルフや料亭の接待、京都旅行、コンパニオンやAV女優などとのセックス接待です。その接待は、赤坂のホテルや、赤坂、向島の料亭、吉原のソープでした」(「週刊現代」96年12月7日号)
「(大蔵省汚職事件で起訴された元証券局総務課長補佐について)被告の容疑は、野村証券に対しパリのレストランなどで合計140万円あまりの接待を強要し、投資信託の承認に関して、便宜を図ったというもの。ほかに、大和証券、日興証券、山一証券、住友銀行からも、料亭やゴルフ等の接待を受け、便宜をはかったとされる(略)大蔵省の内部調査によれば長野氏(庬士・元証券局長 過剰接待で処分、のち辞任)は、93年から4年間で、のべ46社の金融機関から、少なくとも104回の会食と、23回のゴルフ接待を受けている。接待総額は480万円。一回あたり約3万7000円だが、これは自己申告にもとづくものだから、実際には、一回の接待の額も回数ももっと多いはずだ」(「週刊現代」98年6月13日号)
これら官僚たちのタカリの実態は、事件報道と同時に、国会での証人喚問や、公判を通して次々と明らかになっているが、他にも泉井石油商脱税事件での厚生省接待、消費者金融武富士事件での大蔵省接待など、官僚汚職にはゴルフが料亭接待などとセットになり、汚職の温床、大きな役割を果たしていたことがわかる。