麻生太郎オフィシャルサイトより
盗人猛々しいとはこのことだろう。麻生太郎財務相が会長を務める「超党派ゴルフ議員連盟」が、国家公務員に禁じた「利害関係者と共に遊技またはゴルフをすること」を「国家公務員倫理規定」から外すよう、政府に申し入れた一件だ。
議員連盟が政府に提出した決議文によるとゴルフ接待禁止は「ゴルフに対する誤解や偏見を与える」「ゴルフへの冒瀆」などとしてその解禁を求めたもの。さらに遠藤利明五輪担当相も会見で「ゴルフは来年のリオ五輪の種目。五輪種目である大衆スポーツを特別な扱いにするのはふさわしくない」とゴルフ解禁を後押しまでしたのだ。
簡単に言えば、これまで禁止されていた官僚と利害関係者とゴルフを解禁せよ! というものだが、そもそもこの規定は、90年代に相次いで起こった官僚の贈収賄事件を受けて2000年に設けられたものだ。一連の汚職・贈収賄事件の背景には官僚への巨額な賄賂、接待があり、そのなかでもゴルフ接待を舞台にしたものは当時大きな批判に晒された。しかもこの規定は個人的に行うゴルフを禁止したものではなく、汚職や贈収賄を防ぐために、“利害関係者”とプレーすることを禁じたものだ。
翻っていえば、こうした“規定”がなければ官僚たちの汚職は防げないという判断でもある。実際、当時の事件を振り返ると、官僚たちが過大な接待に溺れていく様と、そのあきれるばかりの倫理意識のなさが浮かび上がってくる。
官僚汚職事件とゴルフの関係は深い。古くは89年に起こったリクルート事件で文部省の生涯学習局長ら3人がゴルフ接待を受けていたことが発覚しているが、その後ゴルフ接待の存在がもっともクローズアップされたのが1996年に起こった特別老人ホーム「彩福祉グループ」を舞台にした厚生省汚職事件だった。
この事件は収賄容疑で埼玉県高齢者福祉課の茶谷滋課長や、厚生省トップまでつとめた岡光序治事務次官が辞任後に逮捕されるなど厚生省を震撼させた大事件だったが、ここで大きな問題となったのがゴルフを含む接待漬けだった。当時のマスコミ報道もこの“タカリ接待”を大きく取り上げている。