古舘の発言はこうした隠されたテロ報道、もうひとつの現実に目を向けただけであって、何の問題もないどころか、むしろジャーナリズムにとって絶対に必要な視点と言っていいだろう。
こんな程度の発言にまでいちいちクレームをつけ、総攻撃をするというのは、いったいこの国の世論というのはどうなっているのか。
こうした圧力の背後には、もちろん、安倍政権と自民党の扇動がある。
実際、自民党は例の文化芸術懇話会での言論弾圧発言で反省したと思いきやまったく逆で、安保法制報道を契機に、さらに放送局への圧力を強めている。今年9月末には、自民党「放送法の改正に関する小委員会」の佐藤勉委員長が、テレビの安保法制報道を問題にして、「公平・公正・中立は壊れた。放送法も改正したほうがいい」と、露骨な恫喝発言をしている。
「自民党は党内でテレビ番組を徹底チェックするシステムを敷いています。とくに、テレビ朝日とTBSについては、ものすごく細かいところまでチェックしていて、少しでも問題だと思ったら、即、抗議、同時に、ネトサポを使ってネットに情報を拡散するんですよ」(政界関係者)
実際、『報道ステーション』に対しても、20日、マリで起こった立てこもり事件についてコメントした古舘に対し、自民党の佐藤正久議員がTwitterで噛み付いている。
「報道ステーション、日本人が巻き込まれた事件、遺族のことも考えて数字は正確に」
番組で古舘がマリの事件に関し、邦人が殺害された2年前のアルジェリア人質事件に触れているが、その際「日本人7人が死亡」とコメントしたが、実際は10人だったというものだ。しかし、これは当初の政府発表が7人であり、その後10人と訂正されたもので、まさにイチャモンの類と言っていいだろう。