もちろん、その思考の先には対テロ戦争を肯定する政権への不信感もあるだろう。現に2013年11月には、特定秘密保護法に対して、このように意見を述べていた。
〈特定秘密保護法案を可決しようとしている現政権。知らなければ、問題を考えられない人が増えて行く。そして、国民は馬鹿になってゆく。馬鹿になれば、問題は為政者に任せるだけになる。参加型民主主義に逆行中の日本。9万件のパブリックコメントの約9割は反対。それを反故にしてる現政権〉
〈参加型民主主義に逆行中の日本〉という指摘は、この発言から2年後であるいま、まさにどんどん進行している事態だ。とくに安倍首相が進める緊急事態条項は、国民は国の指示に従うことが強要され、人権さえ制限される可能性がある“国民に考える余地を与えない、馬鹿にするための”規定だ。
これ以上、考えることを止めて政権の言うがままになれば、どんな未来が待っているのか。今回、伊勢谷が発した“平和を創るには普通じゃない人が増えなくてはいけない”“世の中を変えるためには諦めてはいけない”という声が、多くの人びとの考えるきっかけになることを切に望むばかりだ。
(水井多賀子)
最終更新:2015.11.25 11:46