カクトエンタテインメント公式サイトタレントページより
パリで起こった同時多発テロを受けて、案の定、安倍政権はテロへの危機感を煽り、テロ発生以前から安倍首相が「極めて重く、大切な課題だ」と発言してきた緊急事態条項の創設に向けて本格的に動き出す見込みだ。同時に、メディアも難民や在日外国人までをもテロリスト呼ばわりし、緊急事態条項なくしてはテロに対抗できないと触れ回っている。
一気に噴出した排斥主義と、対テロ戦争の“正当化”──。だが、こうした高まる声に抵抗の姿勢を示したのは、俳優の伊勢谷友介だ。
〈テロを非道だと思うのは、その行為からだ。しかしその行為に至るのには必ず理由になる彼らに対する非道があったからだ。それを無視して、非道だからと怒りに任せて攻撃するのは、これまでの歴史的事実を知っていれば、解決にならない。子供が殺されたら黙っていられない。それは相手も同じ。〉
伊勢谷がこのように述べたのは、今月16日のツイッターでのこと。政権もメディアも、そしてツイッターなどのSNS上でも、テロ行為への非難が溢れかえっているが、一方、シリアでは“正当化”された空爆によって多くの市井の人びとが命を落としている。そもそもISを産みだしてしまったのは、すでにアメリカの欺瞞が暴かれているイラク侵攻に原因がある。この現実に目を向けなければ、負の連鎖はつづいていくだけ──ヒートアップする「対テロ戦争こそ解決策」という意見に、伊勢谷は問題の深層を直視することを呼びかけたのだ。
じつは伊勢谷は、テロ発生の翌日である14日にも、このようにツイートしている。
〈環境に殺し、殺される前に、自滅への強烈なアクションが始まったのか。。。今回のパリの事件は、どこにでも起こる可能性がある。人が人に銃を向けた事の人類のツケだ。正義の武力はないのだ。この繰り返しを過去の物にしなければならない。〉