この編集者の嘆きはもっともだ。そもそも、このフェアの出発点は“現在の民主主義がないがしろにされている状況で、あらためて民主主義について考えてみる”というのが企画意図だったはず。そうなれば、当然ながら現政権を批判的な見方の本が選ばれるのは必然であり、そうした視点なくして現状は語れない。だが、図らずも、そのことに「偏っている」と文句をつける行為、そして声に屈してフェアを引き下げること自体が、この国の民主主義の“ヤバさ”を表してしまったのだ。
しかもその上、バッシングを恐れて安倍首相と一体化したような論客のトンデモ本を選んで、ことをおさめようとするとは本末転倒も甚だしい。一体、このブックフェアは誰のためのものなのか、疑問に思わずにはいられない。
(水井多賀子)
最終更新:2015.11.22 07:03