MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店HPより
「選書が偏っている」などの批判を受け、中断されていたMARUZEN&ジュンク堂書店のブックフェア「自由と民主主義のための必読書50」が、今月13日、「今、民主主義について考える49冊」にタイトルをあらためて再開された。しかし、今度は旧フェアに入っていたものの、今回、外されてしまった本に話題が集まっている。
新フェアでは、SEALDsの『民主主義ってこれだ!』(大月書店)や、衆議院憲法審査会で「安保法制は憲法違反」と述べた憲法学者・長谷部恭男氏の『増補新版 法とは何か』(河出書房新社)などの注目作だけでなく、プラトンやカントの古典までも除外。これにはまたも異論が相次ぎ、ついには大阪市の清風堂書店が「外された40冊」フェアを行い、話題を呼んでいる。
だが、今回の新フェアで注目したいのは、新たにラインナップに加えられた本のほうだ。なかでも一際異彩を放っているのは、哲学者・長谷川三千子氏の『民主主義とは何なのか』(文藝春秋)だろう。
長谷川氏といえば、2012年に結成された「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」の代表幹事を務め、安倍首相の「お友だち人事」で百田尚樹氏とともにNHKの経営委員に就任したゴリゴリのタカ派論客。その論考は安倍首相による政策の思想的支柱となっている。
そして、今回フェアに選ばれた『民主主義とは何なのか』は、一応、フランス革命から振り返り民主主義を見つめ直すという主旨なのだが、もっともらしくトクヴィルやプラトン、ボダンなどを引用しながらも、その実、中身はトンデモ発言連発の内容なのだ。