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ブラック企業? Amazonで労働組合結成! 組合委員長が告発する社員追い出し工作と異様な懲戒処分の実態

「アマゾン・ジャパンのPIPが他社と比べても際立っている点は、PIPそのものが懲戒処分に組み込まれていることです。そしてPIPを受ける過程で、解雇を含むペナルティを受けることが記された誓約書に執拗にサインを迫られる。サインを拒めば業務命令違反として懲戒処分を示唆されます。サインを迫ること、面談時に退職を誘導することなどは民法709条の不法行為、退職強要にあたる可能性があります」(鈴木執行委員長)

 他社のPIPも十分に悪質なのだが、アマゾンの場合は、より露骨に解雇目的のために運用されているといっていいだろう。PIPを懲戒処分として位置づけることは、労働契約法上の懲戒処分において必要とされる「社会的相当性」という観点から見ても大いに疑問である。

 また、PIPを受けることになると、労働時間も通常の労働に加え、絶え間ない改善を要求されるPIPの業務が加わることになるため、非情な長時間労働に従事することとなり、従業員の疲弊は相当なものになるという。

 しかも、今回のケースでは従業員に対し直属の上司が「自主退職かPIPを受けるか」と二者択一を迫り、また「PIPは退職に導くためのシステムであり、私なら選ばない」と語ったという。

 一定の割合で産み出されるローパフォーマー。彼らを退職に追い込む手段として、PIPをフルに活用しているのだ。

 不明確な評価基準、職場には密告が蔓延、過酷な懲戒の制度。そして制度的に産み出されるリストラ対象者。これがネット時代の寵児における労働の現実だ。

 アマゾンに潜入取材を敢行した著者による横田増生『アマゾン・ドット・コムの光と影』(初版・情報センター出版局、のち朝日文庫)では以下のように書かれている。

〈アマゾンも日通も、人が長つづきしないことを、露ほども気にしていないことだった。 ここでは、アルバイトとは募集広告を打ちさえすれば、陸続とやってくる“使い捨て人材”の異名でしかない。
 ある業界関係者はこう話す。
「アマゾンは正社員の定着率も良くないですからね。とくにできる人ほど独立したり、ほかの会社に移っていきます。それを見ると、つくづくアマゾンは人よりシステムで持っている会社なんだなあと思います」〉

 著者が潜入したのは2002年だが、人を交換可能な機械の部品のように扱うアマゾンのシステムはこの頃から存在していたわけだ。

 このようなシステムのきしみが、現在の世界各国における労働組合の結成に端的に現れているといってよい。

 何でもワンクリックで手に入れることができるという、アマゾンの充実したサービスを我々は享受している。だが、その裏にはこのような過酷な労働環境があることは認識しておくべきだろう。
(高幡南平)

最終更新:2015.11.20 08:35

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