自由民主党HPより
中央アジア各国を外遊した安倍首相だが、日本国内からは不満の声が轟々。自公は、野党から安保法制やTPP妥結についての議論を求めて要請された秋の臨時国会の設置に応じる気配はない。最新世論調査では約7割が開催すべきと答えているにもかかわらずにだ。
国民からいっこうに効果を感じられないと言われ続けているアベノミクスに関しても、安倍首相は今一度国会で説明する必要があるだろう。ところが、国内の家庭が食料品の高騰で悲鳴をあげている一方で、安倍首相がなにをしているかというと、中央アジアの国々に対する金のバラマキ、もとい経済協力を約束しているというわけである。
狙いは明らかだ。今回首相が歴訪した国のうちモンゴルを除く中央アジア5カ国は旧ソ連で、現在でもロシアと中国両国の影響下にある。とりわけ中国は、中央アジアでの天然資源の獲得に加えて、重要な経済圏として影響力を強めているといわれている。安倍首相は各国での首脳会談で安保法制への理解を求めるなど、これ見よがしに中国を牽制しているが、ようは手を組んで“中国包囲網”をつくろうという目論見なのだ。
だが驚くのは、そのなかにあの謎に包まれた国家・トルクメニスタンが含まれていたことだろう。ほとんど人にはあまり馴染みがないと思うが、北にウズベキスタン、南にイラン、アフガニスタンと国境を面するトルクメニスタンは“中央アジアの北朝鮮”として知られている。
永世中立国を宣言している同国だが、外国人の渡航は厳しく制限されるなど、独裁的傾向が非常につよい。2015年度版「報道の自由度ランキング」で北朝鮮に次ぐ178位ではワースト3に入っている。
特に前大統領であるサパルムラト・ニヤゾフによる“個人崇拝体制”は凄まじいものだった。都市には大統領の肖像画があふれ、中心部には黄金のニヤゾフ像が佇む。もちろん通貨にもニヤゾフの顔。また「軍事研究」(ジャパン・ミリタリー・レビュー)07年3月号別冊によれば、国民の必読書として、ニヤゾフが神の啓示を受けて書いたとされる「ルフナマ」というものがあり、毎週金曜日に学校での“ルフナマ教育”が義務付けられるのは序の口、大学受験でも暗唱が合格の条件で、大人たちの職場さえもルフナマの学習の度合いで勤務が評価されていたという。言うまでもなく、ルフナマの表紙はニヤゾフの横顔だ。それどころか、酒や文具まで、どこにもニヤゾフの肖像画が入っていたという。