しかも、執行部側が支払いを拒否したのも理由があった。それは、これまでこの政党交付金が大阪組の使い放題にあったからだ。大阪都構想の住民投票では、橋下市長らが党のカネ6億5000万円も、大阪組の新代表に選出された前国対委員長の馬場伸幸衆院議員は毎月300万円もの党のカネを使って、連日連夜、ドンチャン騒ぎをしていたことを日刊ゲンダイに報じられた。
橋下市長は自分たちにこんな実態がありながら、執行部・残留組を「金の亡者」と攻撃しているのである。まさに、話のスリカエ名人、詐術師・橋下の真骨頂という感じだが、実は、橋下市長はもっと前、最初の段階から嘘八百をふりまき、維新の党を引っ掻き回していたらしい。
今回の騒動で幹事長を更迭された残留組の柿沢未途衆院議員が、「週刊新潮」(新潮社)10月29日号で「橋下市長の嘘で騙された!」と告発している。
今回の分裂は柿沢氏が山形市長選挙で民主・社民が応援する候補予定者の応援演説を行ったことが発端だった。柿沢氏の行動に対し「民主党と連携するなど言語道断」と激怒した松井一郎顧問が柿沢氏の辞任を要求。執行部がそれを拒否したことから、松井・橋下コンビが離党と新党立ち上げを表明した。
しかし、柿沢氏によると、橋下市長は当初、「『柿沢さんを辞めさせる必要なんてないんです』ということを言っていた」のだという。
実際、8月27日の離党表明前に送られてきた橋下市長のメールにも「党は割らない。柿沢さんは辞める必要はない」と記されていた。だがその翌28日、橋下氏は突然、新党を立ち上げることを表明したのだ。
おそらく、橋下市長は、柿沢幹事長に自ら辞任されたら、党を割る大義名分がたたないため、わざわざ「辞める必要はない」などと騙したのだろう。
また、橋下市長は分党交渉が決裂すると、「松野代表の任期は9月30日までで、現在は代表不在である」と言い出し、強引に大阪組だけで解党決議にもっていった。しかし、柿沢氏によると、そもそも任期の切れる9月に代表選をやらずに、松野代表の任期を延長させようと言いだしたのは、橋下市長自身だった、と言うのだ。