息を吐くように嘘をつく安倍政権だが、なかでもひどいのが、安倍首相が「初の女性首相」候補として目をかけているという稲田朋美政調会長だ。自民党が野党時代に、民主党政権が進めたTPP交渉への批判の急先鋒が稲田だったのだ。「TPPは『日本壊国』宣言だ!」(「WiLL」ワック/12年1月号)では田中康夫氏との対談のなかでTPPに関して次のように反対している。
〈稲田 推進派はなぜか楽観的で『バスに乗り遅れるな』と言うけれど、行き先を分かっているのかと疑問です。どこに連れて行かれるか分からない、しかも途中下車もできないバスに国民を乗せるわけにはいきません。バスは乗り遅れるかじゃなくて、行き先が重要でしょう?
(略)
稲田 農業だけの問題じゃない、日本の文明、国柄の問題なんです。これにどうして保守派が強硬に反対しないのかが、とっても不思議〉
また、産経新聞11年11月7日付「正論 普天間のツケをTPPで払うな」では「TPPは米国の輸出拡大と雇用創出のためにある。普天間で怒らせた米国のご機嫌を取るために交渉に入るとすれば、政権維持のために国を売る暴挙だ。これ以上の失政の上塗りはやめるべきだ」「TPPは米国の基準を日本が受け入れ、日本における米国の利益を守ることにつながるからだ。それは、日本が日本でなくなること、日本が目指すべき理想を放棄することにほかならない。TPPバスの終着駅は、日本文明の墓場なのだ」と語っていたほどだ。
ところが、稲田は先日、TPP交渉が大筋合意するとこんなコメントを出したのだ。
「TPPはアジア太平洋地域の未来の繁栄につながる枠組みだ。今後、国内で真に強い農業をつくっていくことはもとより、TPPがわが国の経済再生、地方創生に役立つものとなるよう、万全の施策を講じて参りたい」
TPPは「アジア太平洋地域の未来の繁栄につながる枠組み」だと? 「日本文明の墓場」だったんじゃなかったのか!?