「我が国はスパイ行為は絶対にしていない」と断言した菅義偉官房長官だが…(YouTube「ANNnewsCH」より)
日本人3人が「スパイ行為」の疑いで中国当局に身柄拘束された事件がその後、意外な展開を見せている。
中国でのスパイ活動について、日本政府は「わが国は絶対にしていない」(菅義偉官房長官)と全面否定。ネットでも当初は中国当局によるデッチ上げ逮捕ではないかとの見方が広がっていた。
ところが、10月3日、拘束された3人のうち2人が法務省の外局「公安調査庁」の“情報提供者”で、同庁からの依頼を受けて中国内の情報収集をしていたとの報道を皮切りに、2人がスパイであるとの前提に立った報道が相次いだ。
さらに、ここにきてもっと衝撃的な情報も飛び込んできた。2人のうちの1人、中国東部・浙江省の軍事施設周辺でとらえられた愛知県内に住居を置く51歳の男性はなんと、元公安調査庁の職員だったというのだ。
「我々がつかんでいる情報では、数年前に公安庁を退職した男性で、現在は同県内の調査・人材派遣会社に勤めています。ただ、実際は年間数百万円にのぼる報酬を公安庁から受け取っていたのではないかと言われている。というのも、勤め先の取引実態を調べると、どう考えてもまともな収入にありつける会社じゃない。ところが、この男はちゃんと妻子を養い、資産を増やしているんです」(全国紙社会部記者)
これだけ聞くと、すぐ頭に浮かぶのが、身分を隠すために表向き組織を抜け、民間人を装って中国の地に潜入するスパイの姿だ。つまり、日本政府もスパイ映画を地でいくような工作活動を展開していたということなのか。
だが、内情をさらに深掘りしていくと、どうもそんな格好の良いものではないことがわかってきた。警視庁公安部関係者が匿名を条件にこう語る。
「いや、身柄を拘束された3人はいずれもまともな国際諜報活動の訓練を受けていない完全なシロウトです。北朝鮮情報や中国軍の機密情報と称して、玉石混淆の情報をもちこんでいた“たかり屋”だと言ったほうがいいかもしれない。元職員と言われている人物も、身分を隠して潜入したのでなく、公安庁が昔のよしみで使っているというだけ。北朝鮮国境に接する遼寧省で拘束された55歳の男性も、やはり1960年代に帰還事業で北朝鮮に渡った後、90年代に日本へ逃げてきた脱北者で、お金に困って中国情報を売り込んでいた。ほんとうなら誰を情報屋に使うか、きちんと精査しないといけないのに、公安庁はこういう連中に平気で依頼して、情報を買い取ってしまう。そのずさんなやり方が今回のような事件を招いたんです」