しかも、調査が行われた9月12日・13日は土曜日と日曜日にあたる。たとえば13日には大阪で主催者発表2万人の大規模デモが行われるなど、この土日も全国で安保反対デモが催されていた。ようは、かえってデモに参加していたことで電話に応じられず、世論調査の数字に反映されなかった可能性もある。ましてや未成年は最初から調査対象ではなかったのだから、高齢者が多くなるのは当然だろう。
結局、これも、SEALDsなど学生や若者による“フレッシュな市民運動”のイメージを矮小化したい産経とフジが無理やり、「老人が中心」という結論に誘導しようとして持ち出したにすぎない。
だが、どれだけ安倍政権の御用メディアが詐術を使ってマイナス情報を喧伝しても、デモの具体的な映像を見れば、老若男女、あらゆる世代が参加し、多くの人が特定の党派と関係なく集まっていることはすぐにわかるだろう。そして、何より、国民の大多数が戦争法案の廃案を望んでいることも、各種の世論調査を見れば明らかだ。
実際、前述の産経記事ではネグられていたが、産経FNN合同世論調査でさえ、「今の国会で、安保関連法案を成立させることについて」という問いに対し、「賛成」が32.4%、「反対」が59.9%という結果が出ているのだ。
昨日の国会での中央公聴会に呼ばれたSEALDsの奥田愛基氏は、公述人としてこう述べていた。
「SEALDsはたしかに注目を集めていますが、現在の安保法制に対して、その国民的な世論をわたしたちがつくり出したのではありません。もし、そう考えていられるのでしたら、それは残念ながら過大評価だと思います。わたしの考えでは、この状況をつくっているのは、まぎれもなく、現在の与党のみなさんです。
つまり、安保法制にかんする国会答弁を見て、首相のテレビでの理解しがたいたとえ話を見て、不安に感じた人が国会前に足を運び、また、全国各地で声をあげはじめたのです」
この真摯で誠実な言葉に比べて、フジ、産経の卑劣さはどうだろう。偏った調査結果をさらに歪曲して“安保反対派は「一般市民」ではない”とばかりに、大多数の“市民の声”を排除しようとする──。フジサンケイグループはそろそろ「安倍サマ専用謀略ネットワーク」とでも改名したらどうだろうか。もっとも、かなり頭の悪い謀略機関ではあるが……。
(小杉みすず)
最終更新:2015.09.22 06:56