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あのマンガ家たちがマンガで伝える反戦メッセージ…水木しげる、山上たつひこ、松本零士から浅野いにおまで集結

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「ビッグコミックオリジナル 戦後70周年増刊号」(小学館)

 安部晋三首相による「戦後70年談話」発表を前にして、マンガ界から明快な“戦争NO!”の声があげられた。「ビッグコミックオリジナル 戦後70周年増刊号」(小学館)である。

 掲載されているのは、描きおろしと再掲をあわせた16作品。どれも「戦争」を題材にした粒ぞろいの名作ばかりで、第一級のマンガアンソロジーとなっている。

 執筆陣は水木しげる、松本零士、花輪和一、滝田ゆう、山上たつひこ、そして絵本作家の大家・井上洋介とそうそうたる面子。さらに、これら大御所の名前に、浅野いにお、さそうあきら、三島衛里子といった現代マンガシーンを牽引する注目作家が並置されているというのも、なかなかお目にかかれない光景だ。

 本企画の目玉はなんといっても、水木しげるの描きおろし「人間玉」だろう。

 本作は、水木自身の戦争体験を題材としたもの。舞台はラバウル島に向かう輸送船、水木二等兵をふくむ兵隊たちは「ドレイ船以下」の状態で船底に押し込まれている。ここで敵襲の号令が鳴る。甲板へ出るには、一本の縄ばしごで上がるしかない。死に物狂いで縄につかまろうとする幾百人もの若い兵。人間に人間がしがみつき、結局身動きがとれなくなって、まるで巨大な玉となってしまう。その中ほどにいる水木は応戦の前に危うく窒息死しそうになるが……。

 本作について水木は、次のようなコメントを寄せている。

〈この船に乗っている時は「死」とか「無」に向かっていくような気持ちだった。だから、誰も先のことは考えないようにしていたネ。まもなくこの演習のような、そういう「死」を迎える状態がくるんだな、と思っていた。「ストップ人間玉!」だ。〉

 しかし一方で、解説の中条省平氏も言うとおり、極限状況を描きながらもどこかユーモラスな点を残していて、その感覚がマンガとしての風格をより醸し出している。まさに天才・水木しげるの衰えない才能を感じさせる一作だ。

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