“安保法制推進デモ”の模様を伝える『NEWS 23』(TBS)
またもや、朝日新聞がネトウヨから総攻撃をくらって炎上中である。パリ在住の朝日特別編集委員・冨永格氏が、8月2日、個人のツイッターで、“東京での日本のナショナリストによるデモ。彼らは安倍首相とその保守的な政権を支持している”という文章を投稿した件だ。同時に投稿された写真には、ナチスのハーケンクロイツや旭日旗を掲げた極右デモの模様が写し取られていた。
冨永格氏はすぐさまネトウヨから血祭りにあげられた。同日、東京・銀座では「安保法案を支持する国民大行進 in 銀座」なる安保法制推進デモが行われたのだが、「(ツイートした写真は)関係ないだろ」「レッテル貼りだ」「朝日は国賊」という批判が殺到したのだ。
日経新聞の報道によれば、朝日新聞社が冨永氏に厳重注意し、お詫びを記すように指示したという。菅義偉官房長官は、4日の記者会見で「日本の主要メディアの責任ある人が、事実と異なる内容を英語によって発信することは、海外において日本に対するあらぬ誤解をまねきかねない。事実に基づいて発信することが大事だ」と述べている。
ようするに官邸は、「朝日新聞編集委員のツイートはデマだ」と言っているのである。コメントの狙いは明らかだろう。戦争法案関係で支持率が急落するなか、安保法案に批判的な朝日新聞のいち編集委員による個人的なツイートを吊るし上げることで、潮目を変えようという目論見だ。
産経新聞によれば、自民党は4日、朝日新聞東京本社に対して強く抗議するとともに、冨永氏のツイッターでの訂正と謝罪、朝日新聞ホームページでの英語と仏語による訂正と謝罪を掲載するよう申し入れたという。安倍御用メディアである産経は、この騒動を嬉々として取り上げて「左派による政権へのデマ攻撃」と位置付けようとしているというわけだ。
しかし、今回の騒動で、冨永氏も朝日も謝罪する必要など一切なかった。なぜならば、冨永氏のツイートは、本当のことを述べたにすぎないからだ。