この人事に関し、菅官房長官は息子・翔の存在も考慮したと言われている。総務省次官として俊氏がテレビ局支配を強めると同時に、テレビ局にとって“絶対的タブー”のジャニーズをも利用しようというものだ。テレビ局を「所管の総務省」と「ジャニーズ」という“二重のタブー”に縛り、総務省批判、安倍政権批判、官僚批判を封じることがより容易になる。テレビ局も自主規制をさらに強化する。
さらに出版メディアも“ジャニーズタブー”から、トップアイドル櫻井翔の父親の批判をして、機嫌を損ねたら一大事とばかりに過剰な自粛を行う──。
まさかそこまで、と思うかもしれないが、実際、メディアの自主規制は既にスタートしている空気さえある。冒頭で紹介したように俊氏の事務次官を伝える報道は「エリート一族」「総務省待望の次官」「気さくな人柄」など櫻井親子に対して好意的であり、かつて俊氏が自民党総務族と共謀し、民主党政権が進めた「電波オークション」の規制緩和を潰した“過去”については一切触れていない。
また、俊氏はかなりの権力欲の持ち主で、子どもの存在を平気で利用できるタイプの官僚だという。たとえば、櫻井の妹は2009年に日本テレビに入社。報道局で検察や国税庁の担当記者をしているのは有名な話だが、これも俊氏が動いた結果といわれている。
「櫻井の妹の入社は当初、翔のコネじゃないかといわれていましたが、実際はお父さんのほうから日本テレビの幹部に話があったようです。報道局に配属になったのも、将来のことを考えて頼み込んだらしい」(日本テレビ関係者)
総務省内では、将来、俊氏が自民党から選挙に出馬し、息子や娘に全面応援させるのではないかという見方さえ流れている。
いずれにしても、テレビメディアを牛耳る総務省トップとマスコミタブーのジャニーズ王国トップアイドルによる最強コンビの動向には十分注意を払う必要がありそうだ。
(田部祥太)
最終更新:2015.07.29 11:19