リブロは、03年に出版取次大手の日本出版販売株式会社(日販)の100%子会社となっており、一方、西武百貨店は06年にセブン&アイ・ホールディングスに買収されていた。
ところが、セブン&アイの鈴木敏文は日販のライバル企業取次店であるトーハン出身で、セブンイレブンへの配本もトーハンが受け持つなど、べったりの関係を築いている。
つまり、鈴木オーナーとセブン&アイが関係の深い取次会社のライバルである会社の拠点をつぶすために、賃貸の打ち切りを断行したのだという。
事実、今後はリブロの後の店舗をそのまま使い、三省堂書店が入居することが決まっている。これはつまり、「この場所で本屋をやっていても儲からないから」という理由でリブロがなくなるのではなく、大家の出身企業との関係で閉店に追い込まれたということを物語っている。
セブンの鈴木会長と言えば、セブンのフランチャイズ店に対する仕打ちに象徴されるように、自分たちの利益のためには手段を選ばない冷酷な経営が有名だが、今回のリブロ閉店でもまさにその体質がモロに出たということだろう。
しかし、冒頭でも書いたように、リブロ池袋店はたんなる書店という枠におさまらない、文化的な価値をもった場所だった。
1976年から1997年までリブロに勤務し、『書店風雲録』(筑摩書房)、『書店繁盛記』(ポプラ社)といった著書もあり、今はジュンク堂池袋店副店長を務める田口久美子氏が現在発売中の「本の雑誌」(本の雑誌社)2015年8月号で、リブロ池袋本店閉店のニュースに接したときの思いをこう書いている。