小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

安田純平氏のシリア拘束で政府は? 懸念されるイスラム国人質事件の対応の繰り返し

 後藤さんの妻へイスラム国からメールが届くのが11月。そして政府がそれを知るのは12月3日だった。しかし政府がとった対応は、無策どころか“何もしない”という意思を伴った方針だった。

「特に1月20日以前は『交渉主体は妻であり、最初からコンサルタントが先行して相談にも乗っていた。政府は当事者にはなれない』(官邸幹部)」 
「メールを通した身代金などの交渉は、完全に後藤さんのコンサルタントらのコントロール下で進められた」
「政府が身代金交渉から距離をとろうとした背景には、安倍首相の『テロリストの要求には絶対に応じない』という強い意向があった。政府関係者は『妻を装ったメールの代筆はできない。全てコントロールすれば政府とテロリストの直接交渉になってしまう』と説明し、身代金交渉については『何とか助けたいと考えた妻がコンサルタントと相談して、政府の方針と反する内容を発信するのも仕方がない』と語った」

 まるで他人事。全て“夫を助けたい妻”に責任を転嫁し、黙認という形で放置したのだ。

 身代金を要求されているのは政府でなく、妻個人。だから好きにすればいい。当事者は自分たちではない。それが日本政府、官邸の“本音”だった。

 だからこそ、安倍首相は湯川さん、後藤さん拘束を知った後の15年1月16日からの中東訪問で、「ISILと闘う周辺諸国に」2億ドルもの支援を表明し、イスラム国を平気で刺激する演説をした。イスラム国が2人の人質にオレンジ色の拘束服を着せカメラの前に立たせたのは、そのすぐ後だ。

 水面下での交渉も、ろくな情報収集も打開策もなく、交渉カードも持たずにただ「テロリストとは交渉しない」と言い続ける。さらに結果の責任さえ取らない。これがこの国の首相と政府の姿なのだ。

 そして湯川さんが殺され、身代金は不可能だと判断したイスラム国は後藤さんの解放条件を変更した。イスラム国がつきつけた、ヨルダンに拘束されていたイスラム国死刑囚と後藤さんの交換は、世界にイスラム国の存在をさらにアピールする格好の宣伝として利用された。

 安倍首相の頭の中には、自国民救済の努力や工夫ではなく、米国の「テロリストからの身代金要求に応じない」という方針への追随しかなかった。これまでフランス、ドイツ、スペインなどの人質が水面下での交渉の末、身代金を払い解放されている。こうした国々と連携すればルートはいくらでもあったはずだ。しかし安倍政権は人命よりも、アメリカへの忠誠、選挙、政治日程を優先させたのだ。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する