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「盗聴法」改正がヤバい! 盗聴対象の拡大であなたも警察に盗聴され弱みを握られる

 こうなると、安保法制や原発再稼働に反対する集会やデモに参加する人びとを監視し、プライバシー情報を収集するために盗聴法を悪用することだって考えられる。

 たとえば、集会参加者の中に公安警察が「過激派」と断じる人物が参加していれば、集会やデモの参加者全員を盗聴捜査の対象にするのも不可能ではない。その人物に対立セクトとの諍いなどで「傷害」容疑があるなど、いくらでも理屈づけできてしまうからだ。これでは一般市民でも権力に睨まれるのを恐れておちおちデモにも行けなくなってしまう。

 かといって「デモに行かなければ大丈夫」というわけでもない。前述したように、誰もが知らぬうちに携帯電話などでのやり取りを傍受されてしまう可能性は十分にある。他人に知られたくない恋人とのやり取りや性的な趣味、あるいは経済状態や体調、病歴などに至るまで……。

■警察のミスから始まった部会は、権益拡大の材料に

 こうした改正案は、なぜかくも通ってしまったのか。そのきっかけは2011年6月、法制審議会で「新時代の刑事司法制度特別部会」が設立されたことだ。「法制審議会」とは法務大臣が常設する法改正の諮問機関であり、審議会で行われた答申は基本的に法律化されるほど強い権限を持つ。3年間の議論を踏まえ、今年3月に刑事司法改革の関連法案が閣議決定された。

 審議会設立の前進となったのは、2010年に起こった郵便不正事件だった。同事件では厚生労働省の職員であった村木厚子さんが逮捕されたものの、最終的には検察庁側が捜査過程で証拠品を改竄していたことが明らかとなった。ほかにも布川事件、足利事件など近年冤罪事件が相次いでいたことから、法制審議会の中に「取調べの録音・録画」など「供述に過度に依存しない捜査・公判」の実現を目的とした新時代の刑事司法制度特別部会が設置された。

 特別部会には法務省・最高裁判所・警察庁・日弁連の面々が揃ったものの、数としては法務省や警察庁で一定の役職につく委員が圧倒的多数だった。特別有識者として映画監督・周防正行氏や村木厚子氏も加わったものの、こうした体制下、審議会は当初の目的とはずれた方向に舵が切られていく。「供述に過度に依存しない」代わりの証拠収集手段として警察側が持ち出したのが、盗聴法の改正案だった。日弁連が「取調べの可視化」を訴えるも、結局最終答申で認められたのは裁判員裁判対象の重大事件と、検察の独自捜査事件のみ。全刑事裁判のわずか2%程度だ。それでもわずかな前進を良しとする形で、最終答申は全会一致のもと採択された。つまり、警察・検察の不祥事が発端となって開催された部会は、結果として権力側の「大勝利」に終わったわけだ。

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