また、ウリ専のホームページをのぞくと必ずあるのが、“タイプ”と“バックタチ・バックウケの可否”だ。“タイプ”とは、ゲイなのか、バイなのか、ノンケなのかの属性を指す。ウリ専の世界では、ノンケは絶対的な人気を誇る。“ノンケ礼賛”とすら言えるほど。理由は単純、“現実の世界ではノンケとは絶対にヤレない”からだ。しかも、ノンケだとゲイやバイの人間以上にウリ専の世界に抵抗感をもつので、ウリ専のボーイになる人も少ない。慢性的な需要過多状態なのである。
なので店側は、本当はゲイのボーイでも、ノンケとして売り出すことは珍しくない。いわゆる、“偽ノンケ”である。ただ、それはゲイの客にはバレバレ。どんなに仕事に慣れたノンケのボーイだとしても、どうしても生理的に受け付けない部分はあり、プレイ中にそれが無意識に表情に出てくる。ゲイやバイのボーイにはそれがないので一瞬で分かるのだ。
しかし、ゲイの世界ではノンケが人気といっても、ウリ専に来る客は、基本的には性行為で気持ちよくなりたい人たち。微妙なプレイしかできないノンケは避け、ゲイやバイのボーイに“ノンケの演技”をしてほしいと要望するお客さんも多いという。複雑な世界である。
そして、もうひとつ、ホームページに書いてある要素“バックタチ・バックウケの可否”は、アナルに挿れたり挿れられたりできるかどうかを指す。“バックタチ可”は、性器を勃起させて客のアナルに挿入することが可能ということ。“バックウケ可”は、客の性器をアナルで受けることができるという意味だ。
だが、プロで身体を売っている男ならばすべてできなければならないかというと、そうでもない。ノンケだったらどちらもできず、手や口でしか射精に導けなかったとしても問題はない。むしろ、それがノンケらしさにつながる。
客も、自分で挿れたい人もいれば、ボーイに挿入されて前立腺を刺激されながら射精する“トコロテン”(相手の性器から押し出されるようにして、トコロテン作りの要領で射精する様子からつけられた専門用語)を好む客もいる。ノンケの性癖も色々だが、ゲイの世界の性癖も色々なのだ。
ちなみに、こうした“本番行為”を前提にした表現が堂々とホームページに掲載されているのは、売春防止法で“同性間における性行為”は適用範囲外になっているから。ソープなどともっとも大きく異なる部分である。
なお、ウリ専は、基本的には女性客が利用できない仕組みだが、“オーナーやマネージャーとコネがある”などの理由で、稀に秘密で女性客の利用を受け付けることがある。前述した通り、同性間における性行為は売春防止法の適用外だが、異性間の性行為は風営法や売春防止法によって禁じられている。なので、一応は「デートのみ」という話なのだが、実情は……である。
その際は、ノンケのボーイが対応にあたるのだが、ノンケで女性客の相手をできるのだから良いのかと思いきや、意外にも男の相手をするのよりも嫌なのだそう。「あんなの相手するくらいなら、おっさんの方がまし」とまで言い放つボーイもいるほどだ。