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「障害児を生んだ親は反省しろ」で炎上の医師も…広がる生の選別と障害者差別の思想

〈この社会において私たちは、「生そのもの」を一般化・抽象化していく圧倒的な権力に巻きこまれています。しかも、その状況は、「どうせこの社会は、すぐには変わらない」「そんなことをしても仕方ない」と口にしてしまいたくなるほど、深刻なところまできています。福島第一原発が起きても原発がなくならないのは「仕方ない」、ヘイトスピーチがあるのは「仕方がない」、この社会の役に立たない人間に社会保障なんて必要ないし、死んでいったとしても「仕方がない」……。こうした風潮が、「生そのもの」を一般化・抽象化し、私たちに「犠牲」を強いたり、自ら率先して「犠牲」を受け入れるよう仕向けたりするのです〉

 いまの日本の社会では、〈社会のあり方に疑問があっても何も言わないのが美徳〉とされ、〈異論が出ても黙殺されてしまい、社会の「同質性」はそのようにして保たれ〉ていく。言っても無駄、言わないほうが得……そう思い込ませる社会は、無論〈権力の作用〉によってつくられている。これを突破するのに必要なのは、このお手盛りの構造に抗うことなのだ。

「障害をもった子どもの責任は親にある」という主張や、「障害をもった子は産まれなくていい」という論調がまかり通る、現在の社会。それがいかに思考停止の状態か、ぜひ本書を読んで多くの人が考えてみてほしい。
(田岡 尼)

最終更新:2015.06.26 10:30

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