映画『新宿スワン』公式サイトより
園子温が監督、さらに、綾野剛、山田孝之、沢尻エリカ、伊勢谷友介といった豪華俳優陣で映画化され話題沸騰の『新宿スワン』。
この作品は、歌舞伎町で“スカウトマン”として働く主人公の奮闘を描いた作品であるが、ここで描かれている“スカウトマン”は、我々がその言葉から真っ先にイメージするような、モデル・アイドル・俳優などへの道を勧める“スカウトマン”ではない。
『新宿スワン』の主人公、白鳥龍彦らが日夜生業としているのは、女性を水商売・風俗・AVといった世界へと勧誘していく“スカウトマン”なのである。
我々の日常からはあまりにもかけ離れていて想像もつかない“スカウトマン”だが、中村淳彦『日本の風俗嬢』(新潮社)では、ベールに包まれたその姿が詳しく語られている。
まず、スカウトマンは基本的にスカウト会社に勤めている。その数は、大小合わせると、全国で200社以上、3,000人近くもの人がスカウトマンとして働いているという。
そして、彼らの収入には、主に二つの形態がある。一つは、紹介女性が10~20日働いた後に発生する、支払い一回限りの“買い取り制”。そして、もう一つは、女性の稼いだ総売り上げの10~15%を、彼女が働き続ける限り永久歩合で支払われ続ける“スカウトバック”である。
キャバクラは買い取り制、性風俗は永久歩合のスカウトバックを採用していることが多い。
性風俗の業界が永久歩合の給与体系を取るのには理由がある。それは、女の子の離職を防ぐためだ。
性風俗の仕事は精神的にも肉体的にも、とても大変な仕事。そのうえ、もともとメンタル面が弱い人も多いので、とにかく離職しやすい。そこで、スカウトマンにそうならないようにアフターケアさせるために、永久歩合のスカウトバック方式を取るのである。