また、バニラビーンズのレナは「わたしの性格って、みんなからどういう風に見えているのかな?」といった、ファンからしたらドキッとしてしまうような内省的なツイートを深夜に突然投稿することで知られている。
これらも、いかに彼女たちが苛酷な状況におかれているか、ということの証明だろう。
ただ、一方で、小嶋の言うように、最近の若いアイドルにとって「病み」がファッションになっている側面はあるかもしれない。というのも、「病み」の告白が人気獲得につながるからだ。
AKB48に話を戻すと、実際、総選挙速報後に順位がよくなかったメンバーが軽い弱音をネットに書き込み、その「病み」を、ファンに投票を促すための武器に使う光景は毎年見られるものである。今では、それをしないメンバーはほぼ皆無といってもいいぐらいだ。
かく言う小嶋自身も、速報発表後に弱音をツイートするのを、ファンの間では「伝統芸能」と呼んでいた。ちなみに、彼女は、選挙を辞退した今年、「本音を書くと伝統芸能って言われたり、なんて書こうか悩んでたなー」とツイートし、「伝統芸能」と称され、自分の病みや弱音を利用していたかのようにファンに思われていたことを憤っていた心中を告白している。
その成功例がAKB48の佐々木優佳里だろう。彼女は、755で「可愛くなりたい可愛くなりたい可愛くなりたい」「めんどくさいのはじぶんでわかってます。すぐ不安な気持ちになる」といった言葉を連続で投下。また、誕生日に「おばあちゃんになっていくねー」と冗談でコメントしてきた同じグループのメンバーに対し、ジョークを真に受けて激怒。そのあまりにもネガティブなキャラクターがウケ、『有吉AKB共和国』(TBS系)では彼女の特集も組まれた。
面倒くさいながらも、メンヘラっぽい女の子好きな男子たちが思わず支えたくなってしまうキャラクターは、ファンを「信者」化し、「ハピネス教」(「ハピネス」はネガティブな自分を奮い立たせるために使う彼女の口癖)と呼ばれている。ハピネス教徒の力はすさまじく、15年選抜総選挙では、17,466票を獲得し、見事50位に輝いた。
そして、彼女達のロールモデルになっているのがおそらく、前田敦子であり、先日の総選挙で見事1位に返り咲いた指原莉乃だ。