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安倍首相が安保法制違憲論にインチキ反論! 日米密約の「砂川判決」もちだす卑劣さも

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ドイツで内外記者会見にのぞむ安倍首相(首相官邸HPより)


「日本人の命を守るためには(安保法制が)不可欠」

 憲法審査会に呼ばれた憲法学者3名が揃って「違憲」と判断した安保法制だが、この人は相変わらず聞く耳をもっていないらしい。安倍首相は8日、ドイツでのG7サミット後の会見で安保法制について質問を受け、冒頭のように必要性を強調。さらに「憲法解釈の基本的論理は全く変わっていない」と、あらゆる論議を無視して「合憲」を主張した。しかも呆れるのは、次の一言だ。

「この基本的論理は、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものだ」

 出た、砂川判決「合憲」論。安倍首相は昨年の集団的自衛権の行使容認の際にも砂川事件の最高裁判決を「合憲」の根拠としたが、今回は加えて自民党が党内議員に配布した「違憲」判断に反論する文書でも「憲法判断の最高の権威は最高裁」と記し、砂川判決を基に「集団的自衛権の行使は憲法に反するものではない」と主張しているという。

 だが、砂川判決を「合憲」の根拠にすることには、憲法学者や弁護士といった専門家たちから「無茶すぎる」と批判が殺到している。

 それもそのはずで、そもそも砂川事件とは、在日米軍基地に基地拡張を反対するデモ隊の一部が数メートルほど立ち入ったことで逮捕され、日米安保の刑事特別法違反で起訴された事件。これに対し、弁護側は米軍の駐留が憲法第9条が禁じた「戦力の保持」にあたると主張した。

 最高裁判決では、結局、弁護側の主張は却下され、デモ隊は有罪になったが、この裁判で争点となったのは“米軍の駐留と旧安保条約は憲法9条に適合しているか”ということで、日本の集団的自衛権行使とはまったく関係のない裁判なのだ。

 それどころか、砂川判決では、米軍の駐留を肯定するために、「憲法9条2項が保持を禁止した戦力とは(中略)わが国自体の戦力を指し」とのくだりもあり、自国の戦力保持禁止を謳っている。この判決文をもちだすなら、自衛隊そのものを否定しなければいけなくなるだろう。

 それを自分たちの都合のいい部分だけを抜き出し、別の意味に解釈しているのだから、安倍首相の主張は乱暴きわまりないが、さらに、砂川判決をもち出すことにはもうひとつ大きな問題がある。

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