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辺野古か普天間かを迫る政府にCoccoが反論!「ギロチンか電気イスかじゃない選択肢を」

 また、辺野古の海にブロックが沈められる様を海上の船から涙を流しながら見つめる女性は、海保の男性に「お兄さんたち、止めて! みんなで肩もみするからよ」と声をかける。「おれは言えないよ」。その返事に、彼らの葛藤が浮かんでくるが、対して女性は、笑顔で「いつも気にかけてくれてありがとう」と礼を述べ、手を振った。──いがみ合ったりなんてしたくない。それが沖縄の願いであるはずだ。

 映画は、美しくゆたかな辺野古の海を映し出す。海底には色とりどりの珊瑚が息づき、ジュゴンは波にゆられながら、碧い海をゆったりと泳ぐ。こうした自然が壊されていく風景を目の当たりにすることは、住民じゃなくても胸が締め付けられるような痛みを感じる。しかも、沖縄は「県外移設」「新基地建設反対」という民意を知事選によって政府に示しているのだ。沖縄で日本政府がやっていること、それを表現する言葉は「理不尽」という三文字以外、見つけられない。

 本作の監督は、以前本サイトでも紹介したことがある『標的の村』の三上智恵氏。彼女は今回の映画について、こう綴っている。

〈辺野古のゲートや海上で彼らに襲いかかってくる権力は、警察、防衛局、海上保安庁にその姿を変え、素手の県民を押さえつけます。でも、いくら押さえつけられても、その口は歌を唄う。怒りの絶頂を瞬時に笑いに変え、気力を盛り返す。撮影しながら、私は確かに地鳴りを聞きました。「島ぐるみ闘争」の震動は、やがて激震となって本土に到達するでしょう〉

 タイトルの「戦場ぬ止み」とは、「辺野古のゲート前に掲げられた琉歌の一説に由来している」という。《今年しむ月や 戦場ぬ止み 沖縄ぬ思い 世界に語ら》。──「今年11月の県知事選挙は、私たちのこの闘いに終止符を打つ時だ! その決意を日本中に、世界中に語ろうじゃないか」。そんな意味が込められている。

 もうすでに沖縄の答えは出ている。いまは「内地」が、「人として当たり前に与えられていいはずの正しいやさしい選択肢」を国に訴えるときがきている。「ギロチンか、電気イスか」なんて選択を沖縄に押し付け、人びとのあいだを分断する、わたしたちはその当事者なのだから。
(水井多賀子)

『戦場ぬ止み』http://ikusaba.com/
6月5日(金)まで東京「ポレポレ東中野」で先行上映中
7月11日(土)より沖縄「桜坂劇場」、7月18日(土)より東京「ポレポレ東中野」、大阪「第七藝術劇場」で本上映開始。以降、全国で順次公開予定(詳しくはHPまで)

最終更新:2015.05.27 05:53

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