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高齢者だらけのゴーストタウンに……オリンピック後に東京が直面する恐ろしい未来図

 これから予想される「東京劣化」の第1は、首都・東京のスラム化。急速な高齢化は経済成長率、貯蓄率が大幅に低下する。結果、公共・民間のインフラを良好な状態に維持することがはるかに困難となるというのだ。本来ならインフラを計画的に整理縮小すべきなのだが、それどころかオリンピック開催とその派生効果によって、インフラは一段と膨張を続けている。東京オリンピックの売りのひとつは既存のインフラをフル活用する「コンパクトな大会」と言われるが、実際は32競技のうち既存のまま使うのは8施設に留まり、あとは新設か仮設・改修が余儀なくされ、関連施設の総投資額は4500億円にのぼる。そのあおりで適切な維持更新のできないインフラが年々増加し、東京の街がスラムと化す恐れが出てくる。1970年代のニューヨークはインフラの劣化により約100万人もの市民がニューヨークを脱出したという。脱出したのはまず富裕層と身軽な若い世代だった。同じことが東京で起これば高齢化と財政の悪化は避けられない。

 さらに東京では今後大量の高齢者が住まいを失う可能性が高い。東京の高齢者の4割は借家住まいだが、年金収支は急速に悪化して、給付水準は大幅に引き下げられる。近い将来、家賃の払えなくなった高齢者が街に溢れだすことになる。しかも、老人ホームは今でさえ圧倒的に不足、近隣県の施設に預かってもらっている状態だ。都心では土地代を合わせて一床当たり2000万円にもなると言われている。40年に老人ホームの需要は約30万人にのぼり、近隣県でも預かれなくなるとさらに100万床が必要で、コストは20兆円もかかる。新たに建設することは難しく、東京に「高齢者難民」が大量に発生する可能性は極めて高い。これを回避するためには必要不可欠なインフラに限定して整備するべきなのだが、オリンピック関連のインフラ整備がこれを妨げる。

《今更ではあるが、オリンピックの招致は愚かな選択であったと言わざるを得ない》と著者は書く。

 意外に思えるのは、東京の文化や情報の発信力が弱まる、という指摘だ。「極としての東京の劣化」と著者は表現しているのだが、今後東京の税率は地方よりもかなり高くなり、反面、公共・福祉サービスは地方に比べて貧弱にならざるを得ない。失業も増加する。すると地方から東京を目指す若者は減少し、逆に東京から地方に移住する人が増加する。そうなれば財政収支はさらに悪化し、ますます東京は敬遠されるという悪循環に陥るというのだ。これまで、ファッションや文化の独占的な発信地であった東京の存在意義は薄れていく。ヘタをすると麻布も表参道も白金も「総巣鴨化」しかねない。

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