報道のすぐ後、夏目を抜擢したばかりの『おもいッきりDON!』のMCから降板させてしまったのだ。また、当時、日テレは夏目をさまざまな特番の司会に起用。『おしゃれイズム』にゲスト出演させたり、番組企画で東京マラソンに出場させたりと、局をあげて売り出しをはかっていたのだが、この騒動以降、そういった露出はほぼゼロ。仕事は『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』のアシスタントのみ、と、完全に干し上げてしまったのだ。そして、夏目は11年に日テレ退社に追い込まれる。
他にも似たようなケースがある。12年には、馬場典子アナが男性実業家と海外旅行をし、経費に絡む金銭の授受があったと報じられた後、担当していた『ZIP!』『キユーピー3分クッキング』から降ろされ、やはり14年に退社に追い込まれた。
また、日テレといえば、女子アナ内定取り消し騒動もあった。アナウンサーとして内定を出した笹崎里菜にホステスのバイト歴があることがアナウンサーにふさわしくないとして、その内定を取り消してしまったのだ。
この際、日テレは「アナウンサーは極めて高度の清廉性が求められる」「ホステス就労の経歴はアナウンサーに求められる清廉性に相応しくない」との文書を笹崎に送っていたという。
この騒動は結局、笹崎が日テレを提訴し、和解が成立。笹崎は「アナウンス部所属予定の総合職」として無事日テレ就職を果たしたが、日テレ側は裁判でもアナウンサーの清廉性を持ち出し、内定取り消しを正当化しようとしていた。
こうした女子アナに対する日テレの態度をみると、上重アナへの今回の対応が大甘なことは明らかだろう。
そもそも、局の顔であるアナウンサーに「清廉性」が求められるというのなら、その最大のものは特定企業や政治勢力と癒着しない、利益供与を受けないということではないのか。放送にかかわる者が、企業や政治家と癒着したら、その相手が不祥事や事件を起こした場合、公平に報道、論評できなくなってしまう。
そういう意味では、上重アナの今回の行為こそがアナウンサー、放送人にとってもっとも清廉性にかけるというべきなのだが、しかし、現実には、その上重アナはおとがめなし。一方で、コンドームの箱を持っていたとか、ホステスのバイトをしていただけの女子アナが「アナウンサーにふさわしくない」と降板させられたり、内定を取り消されたりされているのだ。