たとえば、ベストセラー『呆韓論』(産経新聞出版)など、嫌韓本の著者として知られる元時事通信ソウル特派員の室谷克実氏は、『韓国人がタブーにする韓国経済の真実』(共著者・三橋貴明/PHP研究所)の中で、その“ヘイト”を沖縄にまで向けている。
〈むしろ、日本政府は沖縄を優遇しすぎている。沖縄の気質は、韓国に似ていると思います。彼らのいっていることは、つまるところ『本土はカネをよこせ』ですから。アメリカ国務省日本部長の観察として伝えられた内容は正しいと思います〉
また、最近では、飛鳥新社から『「強欲チャンプル」沖縄の真実 すべては“軍命による集団自決”から始まった』(大高未貴)なる沖縄ヘイト本が出版された。メインテーマは集団自決が軍の強制ではなかったとする曽野綾子の『ある神話の背景』を後追いするもので、典型的な歴史修正本だが、著者の大高は現在の沖縄についてもこう指摘している。
〈翁長氏は、「いまはオールジャパン対オール沖縄だ」と規定し、「経済支援はいらない、だから基地をどかせ!」と主張して知事に当選した。この、自分(沖縄)を一方的な犠牲者とし、本土(日本)を全面的加害者とする論理は、韓国や中国の外交姿勢と共通するものであり、何より、先の大戦直後の『鉄の暴風』や「軍命令による集団自決」などに象徴される、米軍の沖縄占領政策における宣撫工作そのものである〉
このままいくと、嫌韓反中とおなじように、「沖縄の気質」などといって一括りに差別するグロテスクな沖縄ヘイトが、この国のメディアを埋め尽くすのではないか。そんな嫌な予感がしてならないのである。
(野尻民夫)
最終更新:2017.12.23 06:49