NHK公式HP「NHKについて 会長あいさつ」より
「あるものはあるんです」。──NHKの籾井勝人会長が、本日18日に開かれた民主党の会合に出席し、こう声を荒げた。NHKの会長就任時に籾井氏が理事全員に日付が白紙の辞表を提出させたことを、民主党・階猛衆院議員に追及された場面だ。
階議員は「(国会で)こんなことは世の中ではやってないとわたしが指摘したところ、一般社会でよくあることとおっしゃいましたよね?」と、国会での籾井発言を再び指摘。これに対して籾井会長は「あるものはあるんです。皆無ではありません」と開き直ったのである。
はっきり言って、こんなことが一般社会で「よくある」わけがない。なんなら、籾井会長が務めていた三井物産でなんの理由もなく取締役全員に辞表を提出させていたかどうかを聞いてみればいい。
しかも、NHKの場合は理事の人事について放送法で定められており、理事に「非行」が認められ、経営委員の同意があってはじめてNHK会長は理事を罷免できる。それらの条件もなく、会長は理事を辞めさせることなどできないのだ。にもかかわらず、籾井会長は理事たちに日付を空欄にした辞表の提出を求めた……これはいわば、“自分の意に反する人間には、いつだって辞めてもらう”と恫喝していることに等しい。
ところが、籾井会長は階議員が「撤回してください」と迫っても「撤回いたしません」と言い張り、あげくは「わたしが場外で何を言ったとか(関係ない)」と 国会を「場外」よばわりしたのである。
さらに、籾井会長は村山談話についても「いまのところはいい。将来のことはわからない。政権が変わって、その人が、村山談話はもういらないと言うかもしれない」と、とんでもないことを口走っている。
そもそも、歴代の内閣が継承してきた談話を「いまのところはいい」「いらないと言うかも」などと軽い言葉で片付けてしまうこと自体が公共放送のトップとしての品位を疑うが、もっと問題なのは、政権に追随することがNHKのスタンスだと恥ずかしげもなく明言したことだ。会長就任時から「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」と語ってきた籾井会長の政権擦り寄り姿勢はさらに露骨になっているといっていいだろう。