「Quick Japan」vol.117(太田出版)
松田聖子がトリをつとめることが話題を呼んでいる、今年の『第65回NHK紅白歌合戦』。とはいえ出演歌手に大した目玉もなく、『あまちゃん』企画で盛り上がった昨年とは違い、期待度は低め。そんななかで唯一、注目を集めているのが、紅組司会・吉高由里子の存在である。
発表会見では「危なかっしいという声が多いと思う」と自ら言及していたように、奔放な発言で知られる吉高。「よくもまぁ選んだなと思います」という言葉通り、NHKの歴史に残る“失言”が飛び出すのでは……とネットの一部で注目されているのだ。
だが、吉高によれば、じつは紅白の司会オファーも当初は「絶対やるもんか」と思い、断るつもりだったという。そればかりか、好評を博した朝ドラ『花子とアン』の主演に選ばれたときのことも、「イヤだった」と激白しているのだ。
吉高がそう語っているのは、現在発売中の「Quick Japan」vol.117(太田出版)でのこと。朝ドラのオファーがきたときの吉高の気持ちはこうだったという。
「私は朝ドラも観ていなかったし、張り切って出て「みなさん観てください!」なんて、どのツラ下げて言えるのって思ったから、最初はイヤだったの」
しかし、そんな吉高の思いを変えたのは、彼女のマネージャーである加藤久美子氏だった。吉高が“やりたくない”と言い出すことは織り込み済みだった加藤氏は、いわく「なんとかイエスと言わせようと隙を突きました(笑)」。吉高に「これ断れないですか?」と聞かれると、加藤氏は「いや、断れるよ?」と言いつつ、加藤氏が打ち合わせから帰ってくると「スケジュールが具体的になってた(笑)」(吉高)のだという。
それでも吉高が腹を決めたのは、加藤氏の夢を知っていたからだ。加藤氏の夢は、「由里子を国民的女優にすること」。そう、朝ドラ女優にすることだった。
「やりたくなかったけど、ずっと一緒に付き添ってくれた人の夢を叶えるのは、二度とないチャンスだと思って、引き受けたんです。この作品が最後でもいいやと思って」(吉高)
マネージャーの夢を叶えるために出演を決める。──きっとそんな朝ドラヒロインは前代未聞だっただろうと思うが、『花子とアン』はしかし、吉高を大きく成長させた。だからこそ、紅白の司会も引き受けた。
「(紅白の司会は朝ドラの)クランクイン前から「あるかもよ?」って言われてて、その時は絶対やるもんかって思ってたけど。踊らされるのはイヤだけど、踊るのは好きだから、自分で飛び込んでいった(笑)。だって、嬉しかったから。二〇一四年は本当に大好きな年になりました」(吉高)