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自民党の“公平”圧力に『朝生』が屈服!じゃあ安倍首相の単独出演は公平なのか

 実は先日の自民党の圧力を伝える記事で、本サイトは、テレビ各局はこの通達に完全に屈服するだろうと断言したうえで、「選挙で自民党が勝つのは確実。テレビの監督権をもつ総務相には高市早苗の続投が有力ですからね。選挙期間中にヘタな動きをしたら、後々どんな嫌がらせをされるかわからない。各局とも上層部はそんな恐怖でいっぱいでしょうから」という民放関係者の声を掲載していたが、まさにその危惧が現実になったかたちだ。

 しかし、こうした展開をみて、つくづく情けなくなるのは、この通達で「普通に公平、公正中立を要望しているだけじゃないか、どこが問題なのか」と自民党を擁護していた人たちのリテラシーの低さだ。

 彼らは、政権与党が「公平中立」を要求する意味をまったくわかっていないらしい。政権与党は普段から野党に比べて圧倒的に膨大な量の情報を流すことができる。選挙期間中も同様で、テレビ番組では、大量の議席をもっている与党や巨大野党の主張が報道の中心になる。「公平に」というのは本来、少数野党が自分たちの主張も放送するよう要求する際の言葉なのだ。

 ところが、今回は与党がその言葉を使ったのである。もともと放送量が圧倒的に大きい政権与党が「公平にしろ」というのは、政権への評価と批判を五分五分にしろ、ということに他ならない。衆院選は政権信任の選挙であり、現政権の問題点を指摘するのは当然の話。ところが、安倍政権=自民党はそれをやるな、というのだ。7割以上の国民がアベノミクスの効果はないという状態でも、街の声を紹介するときはアベノミクスに効果があったという声となかったという声を五分五分で出せ、といってきたのである。

 普通に考えれば、あり得ない話だが、しかし、政権与党は放送法によって各テレビ局の許認可権を握っている。その力関係を考えれば、こういう展開になるのは当然だろう。

 そもそも公職選挙法には、公示前だろうが公示後だろうが、メディアが政党や候補者を公平に扱わなければならないなどという規定はどこにもない。テレビの選挙報道に関しては、第151条の3に「この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(略)は、日本放送協会又は基幹放送事業者が行なう選挙に関する報道又は評論について放送法の規定に従い放送番組を編集する自由を妨げるものではない。ただし、虚偽の事項を放送し又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」という規定があるだけだ(新聞、雑誌もほぼ同じ)。

 こういうと、放送法第4条の2に「政治的に公平であること」という規定があるじゃないか、というかもしれない。しかしだとしたら、これにもっとも違反しているのは、安倍首相のテレビ単独出演だろう。

 解散発表当日、安倍首相が『ニュースウオッチ9』(NHK)を皮切りに、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)、『NEWS23』(TBS系)に立て続けに単独出演し、『報道ステーション』(テレビ朝日系)だけは出演しなかったことが話題になったが、安倍首相はこれまでも、頻繁にテレビに単独出演を果たしてきた。安倍首相は一国の首相であるが、同時に自由民主党総裁でもある。特定の党の総裁だけが長時間にわたって露出するというのは、著しい政治的不公平ではないのか。

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