「本部が指導している販売目安時間を守っていたのでは廃棄が多すぎて利益がでません」と別のオーナー(同書より)。「本部は商品廃棄リスクを負わずに、加盟店に過剰発注させ、最大を利益を得る」──というセブンの儲けの会計のカラクリ(ロスチャージ会計)がここにも大きく影響しているのだ。
そして、衛生管理。店舗は客や業者の頻繁な出入りがあり、夜間でも照明が煌々と灯っている。店内に入りこんだ虫がおでん鍋に入り込むことが十分に予想される。
「夏から秋の季節の変わり目に、細かい虫が多くおでん鍋に入ることがあり、お客様から『保健所に言うよ』というお叱りの言葉をいただいた」 「気温が上がると鍋に網をかぶせてありますが、冬でも虫の混入を防ぐことができません。毎日『虫は入っていないかな?』とハラハラしています」(同書より)
衛生管理は店の信用問題に直結する。本部も虫が混入した場合は、つゆを交換するように指導しているが、その交換の負担を負うのはほとんどが加盟店側だ。おでんをやればやるほど赤字リスクが高まるのだ。
「本部は『おでんの日』を勝手に決めて販売個数を各店に強制するので、店舗指導をする本部社員が自分で買ったり、アルバイト従業員にノルマをかけたりしています」(同書より)
こうした加盟店の声は本部には届かないようで、セブンの親会社であるセブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)を務める鈴木敏文氏の著書『変わる力』(朝日新書)では、おでんへのこだわりを自画自賛している。
「セブン‐イレブンだからできる新たな『おいしさ』の提供はより付加価値の高い商品を作り続けることだと思っています。これまでは『家庭の味』に近づこうと研究を重ねてきました。しかし、これからは『家庭ではできないこと』『ふだんの手料理では出せない手間ひまかけた味』を提案していく」「そのひとつがだしです。共働き世帯が増えている中、家事の時間も年々減ってきています。昔のようにかつお節を削ったり、昆布を水に浸したりしてだしをとる家庭は少なくなっています。セブン‐イレブンは以前から、おでんやめんつゆ、煮物など、和食のすべての味の決め手になるだしの味を徹底的に追求してきました」
おでんの「おいしさ」を追求されても、加盟店オーナーは借金まみれで、アルバイトはおでんのノルマにアタマがいっぱいで、セブンの店頭では味どころではないのだ。従業員満足度を顧みない鈴木敏文会長の冷徹さは、セブンのおでん鍋でも電子レンジでも「あたためる」ことはできないかもしれない!?
(小石川シンイチ)
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最終更新:2015.01.19 04:05