飯田の書籍については、むしろ過去に出した軽い本の方をオススメしたい。
例えば『ボーダーを着る女は、95%モテない!』(マガジンハウス)。占いというよりも「強引なあるあるネタ」「シュールな一言ネタ」のオンパレードで、意味不明ながら笑ってしまう面白味がある。
「友達の少ない男は、告白したらすぐ落ちる」
「情にモロい人は金持ちにならない」
と、まあ当たり前のことを言ってるよね、というものから
「歯磨きがすきな人は人がいい」
など、もはや「ことわざ?」と思しきものまで。
また、やけに太った女性に厳しいのも特徴だ。
「よくしゃべる男はデブが嫌い」
「おなかがすくと機嫌が悪くなる男はデブ専」
よく読むと、ここでいうデブとはポッチャリ・巨乳系の女性を指しているのだろう。マガジンハウス発行ということを考えると、文化系オリーブ女子な読者層を持ち上げ、肉食系女子を貶めるようなアピールともとれる……。
「占いを理解できない人は、空気が読めない」
そんな言葉に至っては、飯田個人の主張だろう!と思わずツッコミたくなってしまう。
同シリーズの『チョココロネが好きな女は、95%エロい!』(同)も含め、とても「占い本」とは呼べない内容ではあるが、そういった無茶な路線のほうが、むしろ好感がもてるのだ。
ゲッターズ飯田については、このような「言い切り芸」のようなスタイルのほうが、元芸人という出自を存分に活かされている。本格的な占い本として打ち出しながら、目新しい占い術を開拓している訳でもなく、かといって歴史的蓄積もない『ゲッターズ飯田の運命の変え方』よりは、よほど個性的で楽しく読めるのだ。変に自身の占いの正統性を打ち出されても、逆に反発を覚えてしまう。「ストイックな占いのプロ」というイメージを打ち出すのではなく、「占いというパッケージだけの笑える本」といった方向性こそ、ゲッターズ飯田の個性であり持ち味ではないだろうか。
(吉田悠軌)
最終更新:2015.01.19 04:35