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【左巻き書店からのお知らせ】

マララは欧米の手先ではない! 実は革命を目指す社会主義者だった!

 マララの接した社会主義について検討してみよう。そうすれば社会主義の拡がりと、マララの思想の奥行きを知ることができるはずだ。

 一本のペンと一冊の本が人類の未来を切り開くことを訴えた、2013年7月の国連演説に、マララは故ベナジル・ブットが遺した白いショールを頭に巻いてのぞんだ。それはもちろんブットの遺志を継承することを表明したものに他ならない。

 では、ブットとは何者か。ベナジル・ブットは、1988年第二次大戦後イスラム国家ではじめて女性の首相になったが、2007年にイスラム原理主義とみられる勢力のテロによって暗殺されている。彼女が率いていたパキスタン人民党こそが社会主義を掲げる政党なのだ。パキスタン人民党の掲げる社会主義は、イスラム社会主義との解説を加える資料もあり簡単に語りきることは困難だが、参加していた国際組織である社会主義インターナショナルを見れば、その国際的、歴史的位置がわかる。

 社会主義インターナショナルは国際共産主義組織コミンテルンに対抗してつくられたことからもわかるよう反共・反ソ連がひとつの結集軸になっていた。ソ連の影響下にある社会主義国東ドイツが存在していた時代の西ドイツ政権与党である社会民主党も社会主義インターナショナルに加盟していた。いまとなっては日本ではこの程度のこともわからなくなってしまっているだろうから注記しておくと、ソ連が主導する社会主義と異なる社会主義思想があるということだ。こうしたヨーロッパに広く浸透した穏健な社会主義は社会民主主義と呼んだ方が精確だろう。

 このパキスタン人民党の社会民主主義が、マララの社会主義のルーツのひとつであることは間違いない。

 もうひとつの流れは、マララがメッセージを寄せたマルクス主義国際潮流(IMT)だ。

 冒頭に紹介したレーニンとトロツキーの肖像が貼られた演卓もIMT関連の会合に置かれたと推測される。ポスターにこの二人しか登場しないことに、どのようなマルクス主義の系譜に属する組織であるかということが見てとれる。ソ連型社会主義をとっているなら、トロツキーでなくスターリンの肖像でなくてはならない。近隣国ネパールのようにマオ派の影響が強いなら毛沢東でなければならない。トロツキーはレーニンに並ぶロシア革命の立役者でありながらスターリンと対立してソ連を放逐され、後に暗殺された革命家だ。

 IMTは既存の社会主義国家が扼殺してしまった革命の可能性をトロツキー思想に見出すトロツキスト組織なのだ。マララが支持を表明する社会主義とは、既存の社会主義国を超克し、国際的な連帯のなかで新たな革命の像を追求する組織にもつながりを持っている。

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