最高裁まで争われた裁判では、「(本部は)一定の条件の下で、加盟店経営者に対して報告義務を負う」ことを最高裁が認めたものの、事実関係を精査した差し戻し控訴審(2009年8月25日/東京高裁)では、金額などの開示は認めたが、請求書や領収書などの「原資料」の開示は認めなかった。本部の加盟店への報告内容にかかる費用を加盟店負担としている点など問題も残されており、その後も、同種のピンハネ裁判が起こされているのだ。
しかも、本部は真実の仕入原価を開示していないのをいいことに、セブンの加盟店は本部からバカ高いオーナー仕入原価で仕入れることを余儀なくされているという。「週刊金曜日」8月29日号に掲載された記事「セブン‐イレブン“鈴木帝国”の落日 連載第8回 鈴木会長は“嘘”をついたのか!?」によれば、複数の現役オーナーの協力を得て、「店で人気の16商品の仕入原価とスーパー店頭価格」を比較したところ、なんと、人気16商品中10商品がスーパーの店頭価格よりも高いオーナー仕入原価だったというのだ。
「若者に人気の『缶コーヒー』『ポテトチップス』『三ツ矢サイダー』などは一般的なスーパーに比べて3~4割も高く仕入れされている。『スーパードライ』などの人気ビールも1割近く高い」(同記事より)
たとえば、ポッカコーヒーはセブンの店頭では123円で販売されるが、オーナー仕入原価は82円、スーパーの店頭では55~62円で販売されているにもかかわらずだ。同様にカルビーポテトチップスは、セブンの店頭価格は152円、オーナー仕入原価は97円で、スーパー店頭価格は73円。アサヒスーパードライ(350ml)もセブンの店頭価格は221円、オーナー仕入原価は184円で、スーパー店頭価格は171円といった具合である。つまり、セブンの本社から仕入れるよりも、スーパーで買ってきて売ったほうが多くの利益が出てしまうことになる。ということは、その分の差額は、セブン本社の利益となっているのではないかと疑うのが自然だろう。
あるオーナーは、缶コーヒーメーカー・ポッカの営業部長から「(スーパーの店頭では55~62円で販売されている缶コーヒーの)原価を42円まで下げることができる」とセールスを受けたことがあるという。
「『セブンさんも、それなりの量なら48円まで下げますよ』と。『えッ、そんな値段までできるんですか』と聞いたら、そっと小声で『実を言うと現金問屋はもう42円とか40円でやっているので、ウチはそれに上乗せできればいくらでも……』と本音を言ったんです。それでこっちも、『実を言うと、僕ら70円台で仕入れているんですよ』と言った途端、『ええっ!』とビックリして、固まってしまいました。『ちょっとそれ“裏”がありそうですね』と言ったきり、もう何も言わなくなったんです。それっきり部長は姿を現さなくなりました。要するに現場の部長もわれわれの原価を知らなかったんです。だからセブン本部と本社との特命取引で仕入れているんですよ」(同記事より)