被災地の防潮堤についても「必要以上の高さはいらない」と見直しを提言した。実際、宮城県気仙沼市大島では、昭恵夫人の後押しもあり、高い防潮堤が作られることはなかった。その際、同地の小田の砂浜でのイベントに昭恵夫人も参加し、満面の笑みを浮かべながらフラダンスを躍ってみせた。
震災問題だけない。安倍首相が強力に押し進めるTPPについてもこんな発言をしている。
「TPPは政府の政策。私は本音を言えば反対」(「ウォールストリート・ジャーナル」13年12月7日付)
「どんな外圧が入ろうが、地域の絆、エネルギーも食料も自給できるような、そんな地域をいっぱい作って、それをまとめていけたらいいなと。主人の政策とは違うかもしれないですけど」(前同・講演での発言)
また、昭恵夫人は韓流が大好きで、韓国のミュージカルを鑑賞したことを記したFacebookが批判コメントで炎上したこともあったが、昭恵夫人はひるむことなく「全ての人や国と仲良くしたいというのが私の思いです」とコメント。さらに韓国との関係についてこんな発言をしている。
「私も韓流ファンなので友好的な関係を作っていくのには賛成です」(「週刊現代」12年9月8日号)
「パク・ヨンハは亡くなってしまいましたけれど仲はよかったです。一緒にゴルフをしたりご飯も食べたりしました。そんな感じでファンではあったし、コンサートにも行ったりしていました。いわゆる韓流ファンとは少し違うと思っていますが、韓国がそういうふうに私を見ていてくれることで韓国との関係がよくなればいいなと思いました」(「アサヒ芸能」12年11月15日号)
とにかく、しょっちゅう夫の政策やヘイトスピーチをがなりたてるような夫の支持者たちとは正反対のことを堂々と口にしているのだ。安倍首相も当初はいろいろと説得を試みたようだが、最近は諦め気味で放任状態だという。
しかしこうやって改めて読み返してみると、昭恵夫人が口にしている発言は素人っぽくはあるが、本質的には正しいことばかりではないか。少なくとも、いびつなプライドや癒着業界の利害しか考えていない安倍首相やその周辺よりはるかにこの社会や人間の未来を考えている発言だといっていいだろう。
どうせなら、昭恵夫人にはこのまま“家庭内野党”としてもっと暴れ回ってもらって、安倍首相とその周りをおおいに困惑させていただきたい。野党やメディアの体たらくとアッキーの奔放な発言を比べてみると、意外とアッキーのほうが安倍政権打倒に力を発揮してくれるかも、なんてことつい思ってしまうのだが、それはいくらなんでも妄想がすぎるだろうか。
(田部祥太)
最終更新:2015.01.19 05:24