ようするに、保守系メディアはこうした事実を知っていながらそれをネグり、あらかじめ強制連行の定義を「軍が銃剣を慰安婦に直接突きつけて連行した」という非常に狭いものに限定し、それを否定することで、巧妙に情報を誘導してきたのである。朝日が歴史を捏造したというなら、産経をはじめとする保守メディアもまったく同罪なのだ。
しかも、中曽根首相、今回の鹿内信隆フジサンケイグループ元議長の発言でもうひとつはっきりしたことがある。それは、彼らが従軍慰安婦に対していささかも自責の念を抱いていない事だ。それどころか、まるで笑い話のように、「慰安所をつくってやった」「女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとかまで決めなきゃならない」と語っている。
狂気のるつぼだった戦中ならともかく、戦後20年以上たってもこんな発言を嬉々としてできるというのは、そのベースに「女性はセックスのための使い捨ての道具」という差別意識が横たわっているという事に他ならない。そして、このメンタリティは、従軍慰安婦像に紙袋をかぶせるような性差別ギャグを嬉々としてほめたたえる今の右派メディアや嫌韓本、百田尚樹などの右派言論人にもしっかりと引き継がれている。
彼らの姿が今の日本人を代表するものだと思われているとしたら、それこそが「日本の恥」ではないか。
(エンジョウトオル)
最終更新:2015.01.19 06:01