さらに理解しがたい嫉妬も。
「裕福な男性と離婚して、月に20万円の養育費をもらっているシングルマザー」は「らでぃっしゅぼーやの野菜宅配を頼んでいたら、ある日、宅配BOXに泥が塗られていた」というのだ。
これは「母子家庭が高価な有機野菜の宅配を頼むなんて許せない、と感じた誰かがやった嫌がらせ」だったという。“格下”が偉そうなことをするな、というメッセージ──。
さらに、“差別”の感覚も複雑だ。
「20代のママが同世代のママの家に行って、その家がタワーマンションでインテリアも素敵だったりすると傷つきます。だけれども、相手が40歳近い高齢出産ママなら許せちゃうんですよ。10歳以上の相手だと自分と比べないから」
こう本書で語るのはママ雑誌編集者だが相手が経済的に格上でも年齢が上、つまり自分よりも“劣って”いれば許せるものらしい。
ママ社会は一見同じ価値観を持った者たちの集まりだが、実は密かに相手を観察し、値踏みし、格付けをする世界。そして格付けの基準は経済事情、年齢、シングルマザーか否か、保育園ママか幼稚園ママか…と実に様々な分野に及ぶのだ。
そして江角や長嶋妻が子どもを通わせる名門青学は、著名人やセレブが多く、そのためママ差別も激しい。親や祖父母の職業出自、住居、車、服装、出身地といった様々な要因で区別され、差別されていく。こうした環境の中、女優として成功した地方出身の江角は、その気性も相まって他のママにとっては目障り的存在だったことは想像に難くない。
ブログで告白したことが発端で、その後メディアを巻き込んだ大騒動、情報戦の様相さえ呈している今回のママ友いじめ事件。“つぶやいた”江角にとっては大きな代償となってしまったことだけは確かだ。
(寺西京子)
最終更新:2015.01.19 06:08