まず、毎日新聞(8月20付)の「週刊文春」広告はこのようなものだった。
「タイ代理出産 光通信御曹司・○○○○ 乳幼児『育成の農場』に初潜入!」
朝日新聞は名前に加えて、社名の一部も伏せられていた。。
「タイ代理出産 ○通信御曹司・○○○○ 乳幼児『育成の農場』に初潜入!」(週刊文春)
「億万長者『○通信創業者』ご長男の人間牧場」(週刊新潮)
さらに読売新聞になると、一切の固有名詞が白マルになっていて、もはや何がなんだかわからない状態である。
「IT企業御曹司・○○○○ 乳幼児『育成の農場』に初潜入!」(週刊文春)
「億万長者『○○○創業者』ご長男の人間牧場」(週刊新潮)
いったいこれはどういうことなのか。広告代理店関係者はこう推測する。
「光通信はグループ会社を200社以上抱え、連結売上高が5600億円以上の大企業。いわばメディアにとって大スポンサーです。また光通信はメディア広告事業を行うなど、広告代理店という側面も持っています。そういうことが関係しているんじゃないでしょうか」
「光通信」という大企業への配慮というわけだが、三大紙が揃って自粛するのはもうひとつの理由があった。それが御曹司サイドが複数のメディアに送りつけた「申入書」だ。
「申入書には『どのように子どもを持ち、育てるのかということは、申し入れ人のプライバシーに関わる問題』『プライバシーを侵害する取材・報道行為が行われた場合には、必要な法的手段をとる』と、メディア報道に警告する内容が書かれていたようです。しかもこれを送ってきた光時氏の代理人は、数々の名誉毀損事件を手がけて、メディア相手に連戦連勝を果たしていることで知られる弘中焞一郎弁護士。週刊誌は申し入れを拒否したようですが、大新聞は“人権に関わる”と完全にビビってしまったようです」(大手紙広告関係者)
しかし今回の一件がいくらプライバシーに関わるとはいえ、「光通信」は一部上場の大企業で、その手法において多くの問題を指摘されてきた会社。しかも、父親の重田康光氏は現在もCEO兼会長として会社に君臨し、社員たちに“神様”と崇められている実力者。光時氏自身も「光通信」株68万5500株を持ち、父親から与えられた資産管理会社で「光通信」株を110万株も保有しているいわば大株主だ。そんな人物が莫大なカネを使い、卵子の提供を受け、代理母を契約、ベビーシッターを雇い、16人もの子どもを次々と作っていたのである。