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ベネッセ事件は必然だった?「SE」という仕事のブラックな実態

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『会社じゃ言えないSEのホンネ話』(きたみりゅうじ/幻冬舎文庫)

 約2260万人の顧客情報が流出したベネッセコーポレーションの事件。容疑者として逮捕されたのは外部のシステム会社から派遣されていたSE(システムエンジニア)だった。当然ながら犯罪行為は許されることではないが、一方で、「SEがああいう犯行をしてしまう気持ちはわかる」「SEが犯人と聞いてちょっと同情したくなった」という声が噴き出てきている。

 いったいどういうことか。そのヒントが、SEの実態を描いた『会社じゃ言えないSEのホンネ話』(きたみりゅうじ/幻冬舎文庫)という本に載っていた。SEというと、世間一般にとっては高度な専門知識を持った頭脳労働者というイメージだが、その内幕は「最先端技術を駆使する肉体労働者」なのだという。

「僕らは非常識の中で生きている」と断言する著者自身、プログラムの知識など一切なかった社会人1年目に、「おまえは今日からキャリア三年目の技術者だ」とウソの経歴を強要されて、外部の研究所に派遣された(しかも他社の名刺を持って)ことがキャリアのスタートだったというから、この世界の怖さがよく分かる。

 実際、その労働環境は劣悪だ。アップルやグーグルといった大企業の正社員ならともかく、SEが働くほとんどは中小のシステム会社やベンチャーで、大企業の下請けも珍しくない。経営に余裕がないため、ムチャなプロジェクトを受注して、ほとんど不可能なスケジュールが組まれると、そのしわ寄せは現場のSEに降りかかってくることになる。
 SEの世界では、スケジュールや予算を決めるための仕事量の単位として「人月」という単位が使われる。一人の人間が一ヶ月働いた時の作業量のことだが、このベースは「一日8時間、一月20日」というドンブリ勘定になっているため、その月に祝日が一日あるだけでスケジュールに遅れが出てしまう。また個々の能力にバラつきがあると、できる人間ほど仕事を抱えることになる。
 それでも納期通り、かつ予算内で開発を終わらせるためにはサービス残業をせざるをえず、「連日、会社に泊り込んでの作業になるため、オフィスで事務椅子を並べて眠ることが当たり前」となり、その徹夜も「さして苦痛ではない」というほど慣れてしまうという。

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