また、花粉症とものもらいという、地味だがある意味もっとも辛そうな症状の痛メンが、高校1年生の夏目ユキだ。無口でうさぎのぬいぐるみを抱いているなど、幼い印象の強い彼が目を擦る姿には、小動物を思わせるかわいらしさがある。常に目をうるうるさせているところも、庇護欲を掻き立てられるだろう。
満身荘の管理人を務める小説家の加田屋宰は、職業柄もあって肩こりに悩まされている。メガネをかけた優しげな青年という雰囲気だが、25歳の男性が、指先だけ出る“萌え袖カーディガン”で肩を押さえている姿は、どこかかわいく見える。
甘いものが大好きで、常に虫歯に悩まされている四通信虎は、満身荘の食事係も担当するおねぇキャラ。普段は、痛みをこらえるために右の頬に手を添えていることが多いのだが、そのまま右の肘に左手を添えるとあら不思議。おねぇっぽいポーズになるではないか。
ほかにも、女の子大好きなイケメンモデルながら腰痛持ちの玉腰陽司や、骨が弱くて常にどこかしらを骨折し包帯を巻いている高校生の折笠健、貧血の病院院長で、受けた依頼をMS3のメンバーに伝える長万部満などが登場する。
彼らはみな常に患部に触れているため、どこを痛めているのかすぐにわかる。現実世界でそんな人がいたら、「ケガアピールうざい」などと言われそうなものだが、女子たちにはそれが“かわいく”見えるのだという。包帯美少女や眼帯美少女に萌える男子というのは古くからいたが、それの男子版ということなのか。はたまた、女子たちの母性的な何かが刺激されるということなのか。とまれ、これからは痛カッコいい“痛メン”の時代が来るかもしれない。
といっても、壁ドンと同じく“ただしイケメンに限る”というやつなので、一般男性のみなさんは、ムダにどこか痛めたりせず健康に生活したほうが無難だろう。
(田口いなす)
最終更新:2018.10.18 04:30