画像は「Jinse TSUJI Hitonari Official Web Site」より
中山美穂との離婚を発表した作家・辻仁成が、新刊である日記エッセイ『不屈』(キノブックス)で、現在の苦しい心境を告白している。
まず、今年3月にふたりの離婚が噂されたときには、辻の“中性化”が離婚の原因と報道されていたが、その後、今度は逆に中山と音楽家・渋谷慶一郎のただならぬ仲が明るみに。結局、離婚発表時には10歳になる長男の親権を辻がもつことが公表された。
辻はこの一連のいきさつと、離婚後の胸の内を本書のあとがきで明かしているのだが、これによれば、辻が中山の“異変”に気付いたのは昨年の12月。それでもすぐに離婚を考えたわけではなく、中山が自分のもとに戻ってくることを待っていたという。
「彼女に新しい人ができたということを昨年末に知ってはいたが、それは誰にでも起こり得る一時的な気の迷いであろうと、時による回復を静かに待った。けれども、願いは届かず、離別は避けられないところにきた」
辻は関係の修復を期待したものの、中山には逃げられてしまったというわけだが、その最後も「離婚届が自宅に届いた」という、じつにあっさりしたものだったようだ。
本書は2012年からニコニコチャンネルで発表していた日記を抜粋、まとめたもの。そのため、「正直、読み進めることのできなくなる場面や瞬間が幾度とあった」と、辻はあとがきで述べている。そして、
「あの時、あの瞬間、気がつかなかったのか、気がついてやれなかったのか、という激しい後悔が打ち寄せた。夫であり、父親であった自分の責任を思った」
「実際、感謝しかなかった」
「このような結果になった現在も、この十二年間への、ありがとう、の一言しかない。三人で、共に手を合わせて頑張ってきた、いい思い出のほうが圧倒的に多いのだから……」
と、幸福な日常を失ってしまったことを悔やむ思いを切々と綴っているのだ。
たしかに本書の日記を読むと、辻の切ない気持ちもわからなくもない。クリスマス前には、息子がサンタからのプレゼントとして楽しみにしている任天堂のWiiを買い求めたり、かと思えば、息子の晴れ舞台であるクリスマスコンサートの出演時間を間違えて夫婦ふたりカフェで珈琲を楽しんでしまったり。また、辻がパリを留守にしているときには、ふたりはLINEで長話。辻の監督作品『醒めながら見る夢』の英語タイトルを中山が必死に考えるなど、仲むつまじい家族の様子が見てとれる。