しかも、抗生物質よりも「はるかに怖い」のが有機塩素だ。有機塩素系の農薬や殺虫剤は毒性が強いため70年代に世界中で禁止され、中国でも83年に禁止されているが、農薬としての効き目から「実はいまだに使われている」。そして、“中国の土壌ではいまだに高レベルで残留”しているという。こうした汚染された土地で獲れた穀物を鶏が食べれば、「約十倍に濃縮」されるのだ。
こうした鶏肉の安全性を、日本マクドナルドはどのように確保しているというのか。「抗生物質の使用についてどのような検査体制を敷いているのか」という奥野氏の取材に対して書面回答した日本マクドナルドの答えは、
〈中国内ではサプライヤー(製造者)、および検疫局が法定残留基準から所定の頻度で鶏肉、加工品について残留検査を行っています〉
という無責任ぶり。これには奥野氏も「日本の検査体制ですら決して十分ではないが、中国はさらに下を行く。その中国で、検査を中国の業者と中国政府に任せて、安全といえるのだろうか」と疑問を呈している。
安全・安心を謳いながらも、その実、すべて他人任せ──このような実態は日本マクドナルドだけではないはずだ。今回の一件を皮切りに、さまざまな企業の“口だけ”体質が曝かれていくことになるかもしれない。
(田岡 尼)
最終更新:2014.07.23 08:09